出会い
出会い【前編】
ブレヴィティが開発されるよりも前のある日のこと。
太陽がいちばん高い場所で照りつける頃。お城の厨房では、アンドロイドたちがせわしなく働いていました。
言葉もなく機械音を響かせながら、ずらりと並んだアンドロイドたちがお城の人の食事を黙々と作る光景は、他の国の人たちが見れば、少しぎょっとしてしまうものかもしれません。
ばあやと呼ばれる召使いの一人が姫様の食事を届けに行くと、彼女はそれを見るなり不満気な声を出しました。
「わたくし、いまはフォンダンショコラじゃなくて、クリームブリュレが食べたい気分なんだけど……」
姫様は気分の移り変わりが非常に激しい性格で、メニューの変更を迫る事もしばしば。
「……いい加減になさってください! あなたはいつもいつもそうやって簡単にメニューの変更をお言いつけになりますが、お菓子ひとつ作るのにどれだけの時間と手間がかかっているとお思いです?」
とうとう堪忍袋の緒が切れたばあやは言いました。
「だって、いま食べたくなってしまったんだから仕方ないでしょう?」
ですが、姫様に反省の色は見えません。
「なにを申し上げても、無駄なようですね。……わかりました。一度、厨房に行って学んでください。お菓子作りの大変さが身にしみるまで、お食事は抜きですよ」
腑に落ちない彼女は必死に抵抗しましたが、ばあやは年齢に見合わぬ怪力の持ち主。嫌がる姫様を厨房まで引き摺っていきます。
ふてくされる姫様でしたが、彼女はそこで出会うのです。今後の人生をがらりと変えてしまう運命の人に。
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