羞恥心を限界にさせたい

 私はスマホを手に取り、幸せそうにしている珠鈴に向かってその画面を見せた。そこにはお馴染みの催眠術の画面が映っている。


「珠鈴、全部脱いで」

「え、あ……は、はい」


 私がいつもやっていたこと、つまり催眠術にかかった振りを、珠鈴にもしてもらおうと思ってそう言うと、すぐに意図を察してくれた珠鈴は恥ずかしそうに頷いて、ゆっくりと服を脱ぎ出した。


 珠鈴と一緒にお風呂に入ったあの日、服を脱ぐ音は聞いたけど、実際には結局見なかった。

 でも、今日は違う。

 珠鈴は下着も含めて全部、耳の先まで顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうに私の目の前で服を脱いでくれた。


「隠しちゃダメ」


 思わずといった感じに体を隠そうとした珠鈴に向かって、私は催眠術の画面をもう一度改めて見せながら、そう言った。

 ……私は一度、ほぼ一日中胸を好きな人の前で晒されて、弄られたことだってあるんだ。

 珠鈴は今まで見た事ないくらいに凄く恥ずかしそうにしているけど、そんなの知らない。

 あの時の私だって、今まで体験したことの無いくらい恥ずかしかったんだから。


 私がされたことをそのまま珠鈴にして、私と同じように恥ずかしがらせてもいいんだけど、どうせなら、私の時とは違った方法で珠鈴を恥ずかしがらせたい。

 珠鈴をどうしようもなく恥ずかしがらせて、羞恥心が限界になったところで、押し倒そう。


「珠鈴、綺麗」

「ッ、あ、あり、がとう」

「写真、撮ってもいい?」

「えっ、あっ、し、写真?! だ、ダメ、だよ……」


 やばいことを言ってるのは分かってる。

 でも、私だってやばいことをいっぱいされたんだから、これくらい大丈夫なはず。

 

「珠鈴、裸の写真を私に撮られることなんて、普通、だよね?」


 そう思って、私はまた改めて催眠術の画面を見せながら、そう言った。

 絶対に珠鈴が断れないように。


「えっ……あっ……う、うん……普通、でしゅ」


 すると、心做しか体まで赤くして、珠鈴は頷いてくれた。

 最後にちょっと噛んでしまって、さらに恥ずかしそうにしている。

 可愛い。……可愛すぎる。好き。大好き、珠鈴。


「大丈夫。だれにも見せないからね」


「う、うん」


 誰かに珠鈴のあられも無い姿なんて見せるわけが無い。

 だから、そう約束して、私はスマホを催眠術の画面から切り替えて「カシャ」っとわざと音を消さずに、珠鈴のあられも無い姿の写真を撮った。

 すると、一瞬珠鈴の体が震えた。

 私は珠鈴を恥ずかしがらせたいけど、嫌なことをしたい訳じゃない。

 私だって、恥ずかしがらされはしたけど、嫌なことをされた訳では無いんだから、当たり前だ。

 だから、私はちゃんと珠鈴が少しでも嫌な気持ちを抱いていないかにはちゃんと注意を払っている。

 珠鈴はさっき一瞬体を震わせていたけど、私はもう一枚写真を撮った。

 だって、嫌な気持ちは絶対に抱いていないと断言できるから。


「珠鈴」


 私はスマホを置いて、珠鈴に舌を絡めながら、キスをした。

 本当はもう少し珠鈴を恥ずかしがらせるつもりだったんだけど、もう、ほんとに私が我慢できなくなってきちゃった。


「私の部屋、行こ?」


 とろけた目で私のことを見つめてくる珠鈴に向かって、そう言った。

 すると、顔を真っ赤にしたまま、小さく珠鈴は頷いてくれた。

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