私は臆病だから
桜井の家から急いで帰ってきた私は、家に帰ってくるなり直ぐにケーキを冷蔵庫に入れた。
……私、明日、多分……いや、珠鈴は私のことが好きなんだから、確実に、えっちなこと、されるんだよね。……そういうご褒美を明日、誕生日の日にあげるって言ったし。
……ま、まぁ、今は考えないようにしよう。……それより、ケーキや誕生日プレゼント、珠鈴、喜んでくれるかな。
私は臆病だから、ここまで準備しておいて、直前になって不安になってくる。
大丈夫だって分かってるはずなのに。
そんな不安を抱えながらも、私はお風呂に入って、ご飯を食べて、明日に備えて早めに眠りについた。
「……あっ、璃花、一緒に学校、行こ?」
そして、今日の放課後のことを考えて緊張しながらも学校に行こうと家を出ると、ちょうどインターホンを鳴らそうとしていた珠鈴がそう言ってきた。
「う、うん。分かった」
まだ会う気なんて無かったから、私はちょっと声が強ばりながらも、珠鈴に向かって頷いた。
「……珠鈴」
「どうしたの? 璃花」
今日、家に来て。
そう言うだけでいいのに、私の口は重かった。
……まだ、珠鈴のことをそういう目で見てなかった時、ただの親友として仲良くしてた時は、簡単に誘えたのに。
「……今日、私の家、来ない?」
「えっ、う、うん。もちろん、行くよ」
そう思いながらも、私は勇気をだして、珠鈴を家に誘った。
すると、珠鈴の方も顔を赤らめて緊張しながらも、頷いてくれた。
……絶対、えっちなご褒美のこと、意識したよね。
「早く、学校行こ」
それも今日あげるつもりだし、全然いいんだけど、なんか、恥ずかしくなってきた私は、そう言って歩くスピードを上げた。
もう催眠術に掛かった振りをしてきた時に何度も色々とそういうことだってされてるんだし、今更かもしれないけど、恥ずかしいことは恥ずかしいんだから、仕方ないよね。
「あ、ま、待ってよ璃花」
すると、珠鈴もそう言って私の隣に並ぶようにスピードを上げて着いてきた。
隣にいてくれるのは嬉しい。でも、今は、ちょっと恥ずかしくて、上手く珠鈴の方を見られない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます