結構面白いかも
……これ、結構面白いかも。
桜井と並んで適当に本を読みながら、私はそう思った。
まだ40ページくらいしか読んでないけど、普通に面白いと思う。
それをこの本を貸してくれた桜井に言いたいんだけど、桜井も本を読んでるし、後にしようと思って、私はまた視線を本に落として、そのまま読み進めた。
「あ、あの、飲み物とか、用意してなかったので、も、持ってきます」
そして、キリのいい所まで読んだ私は、一旦目を休めるために本から目を離したんだけど、それに合わせて、桜井がそう言ってきた。
……どう考えても私が本から目を離す瞬間を待ってたと思うんだけど、いつから待ってたんだろ。……集中してたから、ほんとに気が付かなかった。
「あ、うん。気にしなくていいよ」
びっくりした私は、頷きながら、そう言った。
頷きながら気にしなくていいって、意味わかんないでしょ。
そう思いながらも、桜井は飲み物を取りに部屋を出ていってしまった。
まぁ、本に集中してて考えてなかったけど、確かに、喉も乾いてきてたし、ちょうど良かったかな。
「も、持ってきました」
「ん、わざわざありがとう」
「い、いえ」
飲み物を持ってきてくれた桜井にお礼を言って、私は飲み物を飲んだ。
「お、面白い、ですか?」
すると、桜井は私が膝に置いている本を見ながら、そう言ってきた。
「ん、面白いよ」
最初は珠鈴のことを意識しなくていいっていう理由で本を借りたけど、今はそんな理由関係なしに借りて良かったと思ってるほどには面白い。
「よ、良かった、です」
「……続き、読ませてもらうね」
「は、はい」
そしてまた、私たちはお互いに本を読み始めた。
「……桜井」
「は、はいっ」
外が暗くなってきたところで、まだ本を読んでる桜井に向かって少し申し訳ないと思いながらも、私はそう言った。
すると、私と同じで本に集中してたからか、体をビクッ、とさせて驚きながらも返事をしてきた。
「もう暗いから、帰るね」
「あっ、は、はい、分かりました」
「……この本なんだけど、もう少し、借りててもいい?」
「も、もちろん、大丈夫、です」
「ありがと」
まだ読み終わってないから、良かった。
そう思いながら、私は桜井と一緒に部屋を出て、今日買ったケーキを持ちながら、桜井に見送られて家を出た。
ケーキもあるし、早く帰ろ。
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