傍から見たら…
「……お邪魔します」
桜井に案内されて、家に着いた私はそう言って、家の中に入らせてもらった。
なんか、新鮮な感じがする。……初めて来る家なんだから、当たり前なんだけどさ。
「れ、冷蔵庫は、こ、こっち、です」
……え? 私が入れるの? ……桜井が入れておいてくれるんじゃないの? ……普通に考えて友達とはいえ、人の家の冷蔵庫なんて開かないでしょ。
「あ、うん」
まぁ、桜井がいいんだったら、否定するのもめんどくさいし、私は頷いた。
そして、あんまり中身を見ないようにしながらも、空いている場所にチョコケーキ2個を入れた。
「桜井の部屋?」
「あっ、えっと、は、はい。こ、こっち、です」
私がそう聞くと、ちょっとびっくりしたように、桜井はそう言ってきた。
あれ、もしかしてだけど、リビングで過ごす予定だった? ……ま、まぁ、桜井も頷いてくれたんだし、大丈夫でしょ。……私相手に断れないから、的なことでは無い、はず。
そ、そんな高圧的な言い方じゃなかったしね?
「く、楠さん?」
そんなことを思って私が内心で不安に思って、桜井に着いていかず立ち止まっていると、桜井は不安そうにそう聞いてきた。
……うん。別に桜井はそういうつもりじゃないんだろうけど、傍から見たらなんか凄い私がいじめっこみたいな感じになってるかも。
「いや、なんでもないよ。行こっか」
そう思った私は、いつもより声色を優しくして、そう言った。
別に今は私と桜井しか家にいないんだし、傍からの視線なんて気にしなくていいんだけど、なんとなくね。
「は、はい」
「こ、ここです」
そして、桜井について行っていると、桜井はそう言って部屋の前で止まった。
「ここが桜井の部屋?」
「そ、そうです」
「入っていい?」
「は、はい、好きな場所に座ってくれたら、大丈夫、です」
桜井がそう言ってくれたのを聞いた私は、部屋の中に入って、置いてあるベッドにもたれかかるようにして、座った。
「わ、私も、えっと、隣、失礼します」
すると、桜井も一つ本を手に持ってから、そう言って私の隣に間を開けながら座ってきた。
桜井の家なんだし、失礼しますとかわざわざ言わなくていいと思うけど、桜井らしいし、まぁいいや。
「ん」
そう思って、適当に頷きながら、私はカバンから桜井に貸してもらった本を取り出した。
そしてそのまま、それを読み始めた。
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