私にはセンスが無い
学校を出た私は、早速後悔していた。
いや、何ご褒美って! しかもえっちなのでもいいって! ……いつも催眠術でそんな感じのことをやられてるから、頭がおかしくなっちゃってるよ。
……まぁ、一旦私の失態のことは忘れて、珠鈴の誕生日プレゼント、買いに行こう。
そう思いながら、一応珠鈴が追いついて来ないように早歩きで、ショッピングモールに向かった。
……正直に言うと、一人でこんなところに来るの、初めてだから、緊張する。……来るとしても、いつも珠鈴と一緒だったから。
取り敢えず、何系を珠鈴にあげるのか、考えよう。
やっぱり無難にアクセサリーがいいかな? いや、ぬいぐるみとかでもいい気がする。
カバンにつけたりするストラップとかもありかな。
そう思いながら、私は取り敢えずアクセサリーが売ってある場所に来た。
そして、しばらくアクセサリーを見て回ったんだけど、重大なことに気がついてしまった。
私、オシャレのセンスとか全然ないから、どれが珠鈴に似合うのか全然わかんないんだけど。……いや、実際には、全部似合うと思うけど、いくら可愛い珠鈴でも全部似合うなんてことはさすがにないと思うから、私のセンスが無いんだと思う。
「何かお探しですか?」
店内をぐるぐるとしていたからか、とうとう店員さんに話しかけられてしまった。
「あ、い、いえ」
怖くなった私は、そそくさとそう言って店を出た。
私はコミュ障なんだよ。桜井はたまたま私と同類だと分かったから喋れてるだけで、普通の人にいきなり話しかけられても、私は喋れないんだよ。
勢いで逃げてきちゃったけど、珠鈴の写真でも見せて、店員さんに選んでもらった方が良かったかな。
……やっぱり自分で選びたいし、これで良かったかな。
よし、私にセンスが無いことがわかったから、無難に可愛いぬいぐるみをあげよう。
そう思って、今度はぬいぐるみとかが売ってある場所にやってきた。
……ちっちゃいのと大きいの、どっちがいいかな。
大っきいって言っても、人の顔より少し大きいくらいの大きさだから、珠鈴にあげる時とか、一旦持って帰る時とかに苦労はしないだろうから、どっちでも大丈夫かな?
あ、このデフォルメされたクマとか、無難でいいかも。
普通に可愛いと思うし。……珠鈴が喜んでくれるかは分からないけど、こういうのだったら、珠鈴の部屋に飾ってあっても普通に可愛くて、おかしくないと思うし。
そう思った私は、そのクマを手に取って、すぐにレジに持っていった。
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