これは告白じゃないし
視線が集まるのを嫌って、珠鈴の手を引きながら教室を出たはいいけど、どうしよう。
流石にこのまま珠鈴を放って誕生日プレゼントを買いに行く訳には行けない。だって、普通に着いてきちゃいそうだし。
だからどこか、人目のないところが……あ、朝に珠鈴に連れて行かれた場所があるか。
よし、そこに行こう。
「珠鈴、朝……朝って何、してた?」
朝の場所に行こう。
そう言おうところで、私は考えた。……あの場所って、催眠術を掛けられてから行ったんだっけ? 掛けられる前に行ったんだっけ? と。
そう考えてしまったから、そんな変なことを聞いてしまった。
「これ、返すね」
私が変なことを聞いてしまったからか、珠鈴は何も言ってくれないから、渡すタイミングを逃していた珠鈴の下着と服が入れてある袋を手渡した。
「何、これ」
「……珠鈴の下着とか」
一応まだ周りに人がいるから、なるべく珠鈴の耳元で、小さく、そう言った。
「……ありがとう。それで、なんで私には、言えないの?」
「……いつか、分かるから」
私は珠鈴には本当のことを言う訳にはいかなかったから、そう言った。
すると、珠鈴の手がポケットに入れてあるスマホに向かっていくのが分かった。
その瞬間、私は珠鈴がポケットからスマホを取り出せないように、珠鈴に抱きついた。
良かった。注意して珠鈴の手元を見てて。……視線が集まってるけど、仕方ない。今、珠鈴から離れたら、催眠術を掛けられて、無理やり言わせられるかもしれないし。
「り、璃花?!」
珠鈴は催眠術も掛かってない私がこうやって抱きついてくることに驚いているのか、私の名前を呼んで固まった。
……抱きついて、珠鈴にスマホを出させないことには成功したけど、これからどうしよう。
……いや、もうこのまま誕生日プレゼントを買いに行こうかな。……幸い、珠鈴は固まってるし、今ならいい気がする。
さっきは珠鈴が着いてくる心配があったけど、今なら、なんか固まってるし、大丈夫かもしれない。
いや、私が離れたら、思考が回復するかも。……もうちょっと何か、したほうがいいかな。
「珠鈴、これ以上聞かないでくれたら、後でご褒美、あげるよ。……えっちなのでもいいよ」
「ふぇ? り、え? ぇ?」
そう思った私は、珠鈴の耳元で小さく、そう言った。
どうせ、誕生日の日に告白するんだ。……これくらいのことは、言ってもいいでしょ。……多分。これは告白じゃないし、全然大丈夫。
私は自分にそんな言い訳をしながら、思考停止してる珠鈴を置いて、学校を出た。
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