もっと強く
……これ、やばい。せっかく、珠鈴のことしか考えられない状況をどうにかしたのに、また、珠鈴のことしか考えられなくなりそう。
もういっその事、ここで告白して、珠鈴を押し倒して……い、いやいや、何考えてるんだ私。
珠鈴に告白をするのは誕生日の日だってもう決めたんだ。だから、今は絶対に我慢しないと。
そう思ってると、珠鈴はまるで私に我慢なんてしなくていいよ、なんて言うように、キスをしてる私の唇の中に、舌を入れてきた。
「んっ」
そしてそのまま、更にギュッと私を抱きしめる力を強くしてきた。
痛い……けど、珠鈴にされてるって考えると、気持ちいい。……この考え、やばいかな。
「璃花、好き、好き、大好き、誰にも、絶対渡したくない」
私が自分の考えに少し危機感を持っていると、珠鈴はそう言って、更に私を抱きしめる力を強めてきた。
どれだけ強くなるの。
そう思いながらも、私はそれが気持ちよくて、嬉しくて、何も命令されてないのに、思わず、私からも珠鈴のことを抱きしめてしまった。
「……璃花? えへへ」
やばい。
そう思ったんだけど、そうすると、珠鈴の抱きしめる力が弱まって、珠鈴はそんな笑みを漏らしていた。
「んぅ、璃花、璃花、璃花」
可愛い。
でも、もっと強く、抱きしめて欲しい。さっきみたいに。
「璃花、いつも通り辻褄を合わせて、教室、行こっか」
私がそう望んでいると、当たり前のことなんだけど、珠鈴は全然私の望みを理解してくれることなく、そう言って、催眠術を解いてきた。
……抱きつきたい。抱きしめてもらいたい。キスをしたい。
でも、告白は誕生日の日って決めたんだ。だから、今はまだ、だめ。
「珠鈴、早く教室行こ」
「う、うん」
触りたい。もっと、珠鈴に触れたい。
そう思いながらも、私はそんな感情を押し殺して、何事もないような顔をしながら、そう言って、教室に向かった。
早く、珠鈴の誕生日にならないかな。……我慢するの、大変なんだけど。
……あ、でも、まだ誕生日プレゼント決めれてないから、やっぱりもうちょっと後でもいいかも。
……まぁ、プレゼントは私ってことにしてもいいんだけど、流石にそれは羞恥心で耐えられない。
今日、買いに行こう。
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