私も好きにしたいって思ってたんだよね

 ゲーム機の電源をつけた私は、コントローラーを二つ持ちながら、ソファに戻って、一つを珠鈴に渡した。

 

「あ、ありがとう」

「ん。じゃあ、やろ」


 そう言って、私は適当なゲームソフトを開いた。

 協力プレイのやつにしようか、対戦するやつにしようか、悩んだんだけど、私は対戦ゲームを起動した。

 昨日、色々とされたし、仕返しに、ボコボコにしてやろうと思って。……別に、嫌だった訳では無いし、むしろ……そういうのは付き合ってからって決めてはいたけど、嬉しかったし。……恥ずかしかったけど。

 ……とにかく昨日は私が負けたから、今日は、ゲームでだけど、勝ちたい。……昨日のは、勝ち負けじゃないかもだけど。






「私の勝ち」


 そう思いながら、ゲームを開始すると、ギリギリ、私が勝つことが出来た。

 ボコボコにするつもりではあったけど、私、こういうゲームそんなに得意なわけじゃないしな。

 ……得意なゲームを選んで、ほんとに圧倒的に私が勝っちゃったらずるいと思うし。

 

「……璃花、もう一回、しよ」

「ん」


 すると、珠鈴はギリギリとはいえ、負けたのが悔しかったのか、そう言ってきた。

 もちろん、私も普通に楽しかったし、ここで辞めたら、また胸を触られるかもだから、頷いて、ゲームを開始した。

 触られること自体に嫌悪感なんて、もちろん無いんだけどさ。





「また、私の勝ち」


 そして、またギリギリだったけど、私の勝ちだった。

 

「……もう一回、しよ」

「ん。負けないから、いいよ」

「……罰ゲームも、付けよ?」


 罰ゲームって……いや、別に負けないからいいんだけど、催眠術で罰ゲームなんてなくても、私に色々出来るでしょ。

 ……あ、でも、私が勝ったら、私が命令できるのか。……あくまで、罰ゲームの範囲内で、不自然のない範囲でだけど。


「別にいいけど、罰ゲームは、なんにするの」

「……なんでもありにしよ」

「……ん」


 珠鈴のいつも掛けてくる催眠術と何が違うのかは分からないけど、私が勝てばいい話だし、私は頷いた。

 一度、私も珠鈴に催眠術……ではないけど、珠鈴みたいに、好きにしたいって思ってたんだよね。

 そう思いながら、ゲームを開始した。


 ……やばい。……負けそう、なんだけど。

 いや、仮に負けたとしても、いつも催眠術でやられてることと変わらないし、罰ゲーム自体はいいんだけど、単純に、負けるのは悔しい。

 だから、私はさっきより集中して、一言も喋ることなく、ゲームに熱中した。


「……私の勝ち」


 私は内心で危なかった……と思いながら、呟くようにそう言った。


「う、うん。私の、負け」


 罰ゲーム、なんにしよっかな。

 珠鈴の緊張したようなそんな言葉を聞いた瞬間、私はそう考え出した。

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