悪いことをしていた訳では無いんだけど
「璃花、私も手伝うよ」
私が朝ごはんを作るのは面倒だと思いながらも、朝ごはんを作ろうとしていたら、珠鈴も服を着て、リビングに入ってきた。
そして、入ってくるなり、そう言って、私の隣に立ってきた。
ちょうど、めんどくさいと思ってたところだし、気持ちは嬉しいんだけど、適当に、パンを焼くだけのつもりだったんだけど……
「パンを焼こうとしてただけなんだけど」
そう思って、私は正直にそう言った。
珠鈴と作るのなら、多少は楽になるだろうから、一緒に作ろうかとも思ったんだけど、やっぱり朝だし、眠いし。
……まぁ、二度寝したから、もう朝ではないんだけどさ。
「そうなの?」
「珠鈴が作りたいなら、一緒に作るけど」
「……私が作るから、眠たいなら璃花はソファに座っててもいいよ」
……顔には出してないつもりだったんだけど、珠鈴には私のめんどくさいって気持ちがバレバレだったみたいで、珠鈴は優しくそう言ってきた。
「……ん。そうする。冷蔵庫の中身は、好きに使っていいから」
珠鈴はいつも朝にお弁当を作ってるんだし、慣れてるだろうから、私はそれに甘えることにして、そう言いながら、ソファに向かった。
そして、ソファに腰を下ろした私は、待ってる間暇だから、スマホをいじっていることにした。
今は珠鈴も近くには居ないし、この前のゲームでもしておこうかな。
面白かったし。
そう思った私は、スマホを取り出して、この前のアプリを開いて、ゲームを始めた。
「璃花、作り終わったけど、何、してるの?」
そうして、ゲームをしていると、直ぐに時間が過ぎていっていたみたいで、朝ごはんを作り終わった珠鈴が、そう言ってきた。
そんな言葉が聞こえた瞬間、私は直ぐにスマホの画面を閉じた。
別に、悪いことをしていた訳では無いんだけど、また、私があのゲームをやっていたことが珠鈴にバレて、変な催眠術を掛けられても困るし。……いや、本当に困るんだったら、催眠術を掛けられたフリなんてしないし、本当に困る訳では無いけど、また、ああいう恥ずかしい常識改変? みたいな催眠術を掛けられるのは、恥ずかしいし。
……もう、色々触られて、見られてるんだから、今更かもしれないけど、恥ずかしいものは恥ずかしいんだから。
「スマホ弄ってた。……それより、朝ごはん、ありがと。美味しそう」
「……うん。大丈夫だよ」
私がそう言うと、珠鈴は笑顔でそう返してくれた。
良かった。気づかれてないみたい。
あのゲームをやっていたことに気が付かれてないことに私は安心しながら、テーブルの前に移動した。
すると、朝ごはんをテーブルに置き終わった珠鈴は、当たり前のように、私の隣に座ってきて、体を密着させてきた。
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