珠鈴から言ったんだから、いいよね

「璃花、洗う、からね」

「あ、ぅ、ん」


 頷いた。頷いて、しまった。

 見られない、とはいえ、このままじゃ、下を珠鈴に触られちゃう。

 

「ひゃっ」


 私がそう思ってると、ボディソープを手に付けた珠鈴が、私の背中に触れてきた。

 いきなりの事だったし、ボディソープが冷たくて、私はそんな声が漏れ出てしまった。


「璃花、冷たかった?」

「だ、いじょうぶ、だから、早く、洗って」


 私は少しでも早く、この恥ずかしい時間を終わらせたいから、そう言って、珠鈴を急かした。

 

「う、うん」


 すると、珠鈴は頷いて、背中を洗い続けてくれた。


「璃花、前、洗うよ」


 そして、とうとう、背中を洗い終えてしまったみたいで、珠鈴は息を荒くしながら、そう言ってきた。

 頷いちゃだめだ。頭では、そう思ってるはずなのに、催眠術を掛けられてることになってるからって理由で、私は頷いてしまった。


「これで、ち、ちょっとは、温かい、かな」


 すると、後ろでタオルが落ちるような音が聞こえて、珠鈴が私の背中に抱きついてきた。

 タオルが無い、裸の状態で。


「み、みすずっ、た、タオルは?」

「……り、璃花が冷たいって言ってたから、寒い、かなと思って、人肌の方が、温かい、でしょ?」


 た、確かに、温かいけど、でも、これは、もう、温かいどころか、体が、熱くなってきて、もっと変な気分になってきちゃう。

 だって、背中越しでも、珠鈴も、胸の先っぽが固くなってるのが分かるんだもん。


「り、璃花、触る、からね」

「んっ」


 そう言って、珠鈴は私の胸を触ってきた。

 そこはせめて、洗うって言ってよ。


「ぁっ、み、すずっ」


 珠鈴は私の胸の固くなってる部分を弄ってきながら、背中に押し付けてきてる珠鈴の胸を更に、押し付けてくる。

 これ、やばいっ。さっき、ソファで触られてた時より、やばい。……だって、好きな人に背中から裸で抱きつかれてるし、ボディソープで、ヌメヌメしてるから、さっきより、頭がふわふわしてきちゃう。


「り、っか、こっち、向いて……」


 私は、急にそう言ってきた珠鈴に従って、首を動かして、少し、後ろを向いた。

 すると、珠鈴は突然キスをしてきて、舌まで入れてきた。

 

「んっぁ」

「……り、っか、く、口の中、洗っただけ、だから」


 そんな言い訳、普通、通じるわけない。


「う、んっ。分かってる、分かってるからっ、もっと、綺麗にして?」


 私は珠鈴に向かって舌を少し出しながら、そう言った。

 こんな状況だから、おかしくなってる。

 それは、分かる。分かってる。でも、私は自分の体を止められなかった。

 珠鈴から、洗っただけって言ったんだから、いい、よね。

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