冷めてるのかな、私

 ファミレスに入った私たちは、適当に注文をして、映画のことを話しながら、料理が来るのを待った。

 話してる途中、珠鈴はいつもより少し、視点が下に下がったりして、私の唇を見てるようだったけど、それに気が付かないふりをしながら。

 

 そうしていると、直ぐに料理が運ばれてきた。

 料理といっても、お互いそんなに食べる気はないみたいだったから、適当にピザとポテトを一つ頼んだだけだけど。


 「「いただきます」」


 適当に喋りながら、私たちは食べ進めた。

 と言っても、私は喋るのが下手だし、映画の話題以外は珠鈴の方から出してもらってたけど。

 

 そして、料理を食べ終わる頃になると、お腹が脹れたからか、珠鈴はもう、普通に目を見て話してくれていた。

 

「じゃあ、今日はもう帰る?」


 料理も食べ終わったし、もういい時間だと思うから、私はそう聞いた。

 

「……今日は、璃花の家、泊まりに行きたい、です」


 なんで敬語……と思いつつも、私は答えた。


「ん、別にいいけど、着替え、取りに行ってから、わざわざ私の家に来るの?」

「璃花がいいなら、行きたい」

「ん。じゃあ、家で待ってるね」


 私としてはどっちでもいいし、そう言った。

 好きな人が家に泊まりに来るのはもちろん嬉しいけど、私が珠鈴のことを好きになる前も、結構お互いの家に泊まったり泊まりに行ったりしてたから、今更新鮮さもないし。


「うんっ。着替え持って行くね!」

「ん」

 

 お泊まりなんてもう慣れてるはずなのに、嬉しそうにしている珠鈴を見ながら、私は頷いた。

 可愛いな。……慣れてるとはいえ、好きな人の家に泊まるんだから、これが普通、なのかな。……私も嬉しいとは思うけど、珠鈴ほどは喜べないし、冷めてるのかな。私。

 まぁいいや。珠鈴を好きって事実に変わりはないんだから、なんでもいいでしょ。


 そう思いながら、一旦、珠鈴と別れて、私は家に帰った。

 そして、家に着いてから、私は思った。

 そう言えば、珠鈴の家に置いてきちゃったあの下着持ってきてもらえばよかったなと。

 ……あ、でも、どうやって言ったらいいんだろ。……あの時下着を脱がされたのって、催眠術を掛けられてた時なんだよね。……どうやって、辻褄を合わせればいいの。

 

 無理だ。……よし、あの下着は珠鈴が自主的に返してくれるまで、諦めよう。

 どうせ、どんな下着だったのかも覚えてないし、別にいいや。

 そう考えて、私はもう先にさっぱりしておこうと思って、お風呂に入ろうと思ったけど、今お風呂を沸かすと、珠鈴が入る頃にはぬるくなっちゃうから、やめた。

 珠鈴が来るまで、テレビでも見ておこうかな。

 そう思って、私はソファに腰をかけた。

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