色々敏感になってるから

「璃花、ブラジャーを着けてから、いつも通り、辻褄を合わせておいて」


 珠鈴は私の胸の先っぽを固くさせておいて、そう言ってきた。

 ……いや、私の胸をこんな感じにさせておいて、放置するの? ……私今、結構限界なんだけど。


 そう思いながらも、自分の気持ちを抑えながら、私は言われた通り、ブラジャーを着けた。


「ま、まだ、早いと思うから、上がって、いいよ」


 珠鈴に触れたい。珠鈴に触れられたい。珠鈴を押し倒したい。押し倒されたい。そんな考えが何度も脳裏に過ったけど、私はそれを我慢して、そう言った。

 

「うん。ありがと、璃花」


 そして、珠鈴が頷いてくれたのを確認した私は、食べかけの朝ごはんがあるリビングに、珠鈴にめちゃくちゃにされたいという気持ちを抑えながら、珠鈴を連れて行った。


 朝ごはん……もう、食べる気になれないんだけど。

 ラップして、置いておこう。

 そう思って、私は食べかけの朝ごはんにラップをかけてから、珠鈴が座ってるソファに人一人分の間を空けて座った。……今、いつもみたいにくっついて座ったら、ほんとに我慢できなくなるから。

 ……大丈夫。少し時間を置けば、今のこんな気持ちも収まるはず。


「んっ」


 そう思って、距離を置いて座ったのに、珠鈴が距離を縮めてきて、私の肩に頭を置いてきた。

 いつもだったら嬉しいんだけど、今は、やめてほしい。……色々敏感になってるから、ただ体を密着させられて、肩に頭を置かれただけなのに、変な声が出ちゃった。


「……璃花?」

「……何?」


 恥ずかしいから、聞かなかったことにして。……催眠術を掛けられてる時、こんな声を出しちゃったこともあるけど、あれは催眠術中っていう言い訳ができるけど、今回は違うんだから、ほんとに、恥ずかしい。


「う、ううん。なんでもないよ」

「……そう」


 離れてほしい。……私から、離れてほしい。でも、そんなこと、言えるわけない。……ただでさえ、珠鈴は変な勘違いをしてるんだから、今、そんなこと言ったら、ほんとに私が珠鈴の事を好きじゃないみたいになったちゃうし。

 ……我慢、しないと。……色々と。

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