お似合いだよね
珠鈴に何故かいきなり抱きつかれたから、よく分からないけど可愛いと思って、頭を撫でていると、さっきまで嬉しそうにしてたのに、いきなり恥ずかしくなってきたのか、顔を赤くして、離れていった。
「ご、ごめん、璃花」
そして、そのまま、そう言って謝ってきた。
「嫌じゃ、なかった?」
「別にいいよ」
と言うか、むしろ嬉しかったし。
それに、頭まで撫でてたんだから、嫌だった訳ないでしょ。
「……でも、璃花、好きな人、いるん、でしょ?」
そう思って別にいいって言ったのに、何故か珠鈴は、泣きそうな顔になりながら、そう言ってきた。
「いるけど」
目の前に。
え? 珠鈴も、もうほぼ私の気持ちに気づいてるんじゃないの?
だって昨日、好きって伝えたじゃん。
「……誰?」
「え?」
「誰が、好きなの?」
珠鈴は苦しそうな顔をして、そう聞いてきた。
……なんで、そんな顔するの? 普通に、珠鈴の事が好きだけど。
昨日、好きって伝えたってこともあるけど、催眠術無しの状態で、私からキスしたこともあったじゃん。
なのに、なんでそんな顔してるの? ……もしかしてほんとに、私が好きでもない人とキスをするような女だと思ってるの?
「……み――」
正直、まだ言いたくなかったけど、今言わないと、少なくとも今日はずっと珠鈴にこんな苦しそうな顔をさせてしまうのかと頭に過ってしまったから、珠鈴が好きだと私が言おうとした所で、珠鈴はスマホを取り出して、私に催眠術の画面を見せてきた。
そのせいで、私は思わず言葉を止めてしまった。
そんな私の様子を、珠鈴は催眠術に掛かったと思ったのか、また、抱きついてきて、今度はキスをしてきた。
……嬉しいけど、これじゃあ、尚更喋れないんだけど。
……いや、私が催眠術に掛かった振りをするのをやめたらいい話ではあるんだけどさ。
でも、本当は催眠術なんてものが無いなんて言うのは、付き合って時間が経ってからにしたい。……だって、それを言うってことは、全部、今まで催眠術に掛けられたことになってる時の事全部、覚えてるってバレちゃう。……それはちょっと、恥ずかしい。
……それに、もっと、こうやって、催眠術を掛けられて、珠鈴に好きにされたい。……変態、かな。……でも、珠鈴もちょっと変態っぽいところがあると思うし、お似合い、だよね。
「ごめん、璃花。璃花のこと、誰にも渡したくない」
そんなことを考えていると、珠鈴は私にキスをするのをやめて、そう言ってきた。
……いや、私も、珠鈴以外には私をあげる気は無いけど。
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