お互い様なんだし
「じゃあ璃花、また明日ね」
「ん。また」
学校が終わって、放課後になったから、そう言って、珠鈴と別れた。
いつもは私が珠鈴の家に行くか、珠鈴が私の家に来るんだけど、今日はやめておいた。
私はもう昨日のことは気にしないようにしたから、全然気まずいとかいう感情は湧かなかったんだけど、珠鈴はやっぱり昨日の事が後ろめたいのか、少しギクシャクしたような感じになっていたから。
……はぁ、もう昨日のこと思い出したって珠鈴に言おうかな。……いや、でも、そんなことを言ったら、私が珠鈴にめちゃくちゃ恥ずかしいことを言って、大事な所を押し付けた事も思い出したことになっちゃう。……それに、珠鈴のそういうことをしている姿も覚えてることになっちゃうしな。……そうなったら、更にギクシャクしちゃいそうだし、やっぱり言えないや。
そんなことを考えながら家に帰った私は、手を洗ってから、ソファに座った。
【好き】
そして、私は珠鈴にそうメッセージを送って、珠鈴は既読が着くのが早いから、直ぐに送信取り消しを押した。
だってまだ、珠鈴と付き合う気は無いから。……送信を取り消したとはいえ、多分、見てくれたと思うから、私の気持ちも伝わっただろうし、珠鈴が私の下着を使ってそういうことをしてても、私も珠鈴の事を好きなんだから、気にしないで欲しい。それに、私だって珠鈴のしてる所を思い出して、そういうことをしたんだから、お互い様なんだし。
そして、珠鈴からメッセージが返ってくることは無く、次の日になった。
私はベッドから体を起こして、リビングに向かって、朝ごはんを食べだした。
……そういえば、珠鈴、いつ来るんだろう。
私が朝ごはんを食べながらそう考えてると、家のインターホンが鳴った。
……え、もう来たのかな。
「はい」
不用心かもしれないけど、扉を開けて、そう言った。
「おはよう、璃花」
「……おはよ。早いね」
「う、うん。楽しみで……だめ、だった?」
「いや、いいよ。私も早く会えて嬉しい」
すると、やっぱり珠鈴が居た。
そんなに早く、私に会いたかったのかな? そう思うと、可愛いな。
「もう行くの?」
だったら、直ぐに朝ごはんを食べきって、着替えるけど? と言う意図を込めて、そう聞いた。
すると、催眠術を掛けられた訳でもないのに、珠鈴が私に抱きついてきた。
「んっ、どうしたの? 珠鈴」
「…………こうしてたい」
よく分からないけど、珠鈴なりに勇気を出してやってくれてるんだろうから、私は黙って、珠鈴の頭を撫でた。
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