楽しみ

「……珠鈴、おはよ」

「り、璃花、おはよう」


 朝起きた時、体が楽で風邪が治ってたから、今日は学校に来た。

 そして、席に座っていた珠鈴に向かって、そう言った。……昨日のことを思い出して、ちょっと、気まずかったけど、それを表に出さないようにして。

 まぁ、私は覚えてないってことになってるし、気にしなくていいかな。……どうしても昨日しちゃったことがチラついちゃうけど、お互いの為に、ほんとにもう忘れよう。


「あ、あのさ璃花」

「何?」

「明日、一緒にデート……じゃなくて、お出かけ、しない?」


 思いっきりデートって聞こえちゃってるけど。……まぁ、聞こえなかったことにしとこうかな。

 

「ん、いいよ」


 特に予定は無いし、休みの日も珠鈴に会えるのは嬉しいから、私はそう言って、頷いた。


「やった。じゃあ、璃花はどこか行きたい場所とかある?」


 行きたい場所……どこでもいい、かな。珠鈴が居てくれるなら、どこでもいい。あ、でも、強いて言うなら、あんまり人混みのところとかは嫌だな。


「人混みが多い所は嫌、かな。……でも、どうしても人混みが多い所に行きたいなら、別にいいけどね」

「映画、とかは?」

「別にいいけど、何か、見たいのとかあるの?」

「う、うん」


 私がそう聞くと、何故か珠鈴は顔を赤らめながら、頷いてきた。

 ……別に、珠鈴が見たいのなら、なんでもいいけど、なんで、顔を赤らめてるの? そういうシーンとかがあるやつなのかな? 私はそんなの気にしないから、別にいいけど。


「じゃあ、それでいいよ」

「い、いいの?」

「ん。珠鈴が見たいのなら、それでいいよ」

「う、うん、ありがと。……璃花も、この前面白いって言ってたから、楽しめると思うよ」


 そう、なの? まぁ、それならいっか。

 どちみち、私は珠鈴と一緒なら、なんでも楽しめるから。珠鈴の事が好きっていうのはもちろんあるけど、単純に、親友でもあるんだから。


「楽しみ」

「ッ――私も、楽しみだよ」


 私が単純に思ったことを口にすると、珠鈴はさっきより顔を赤らめて、私から顔を逸らしながら、そう言ってきた。

 ……? なんでそこまで照れてるの? 思ったことを言っただけなのに。そんな顔されると、こっちまで恥ずかしくなるじゃん。


 そうやって、珠鈴と話していると、チャイムが鳴って、先生が教室に入ってきた。

 私は慌てて教科書を出して、授業を受けた。

 

あとがき

よろしければ、こちらもどうぞ。

【学校一の美少女から告白された私は、同性を好きになることは出来ないと言って家に帰って眠った……はずなのに、何故か告白される日に時間が巻き戻っていた】

https://kakuyomu.jp/works/16817330660968845144

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