自業自得

「珠鈴、帰るね」

「えっ、あ、上がってかないの?」

「今は大丈夫でも、珠鈴は風邪だったわけでしょ? だったら、少しでも安静にしてほしいし」

「う、うん。……風邪、移しちゃうかもだしね。……また、明日」

「ん」


 大丈夫だとは思うけど、一応、ぶり返す可能性もあるし、安静にして、明日は元気に学校に来て欲しいし。

 そう思って、私は珠鈴に「またね」と言ってから、珠鈴の家を出た。


 そして、私は家に帰ってから、いつも通りに過ごして、眠った。





「体、だるい……」


 目が覚めた私は、思わず、そう言ってしまった。

 珠鈴の風邪、移った。……いや、自業自得なんだけどさ。私からキスしたんだし。

 でも、別に後悔はしてない。あの時、あの瞬間は幸せだったし。……仕方ないけど、今日は休むか。

 

【急用が出来たから、休む】


 そう思って、私は珠鈴にそんなメッセージを送ってから、ダルい体を起こして、水分を摂るために冷蔵庫に向かった。

 珠鈴に嘘をついたのは、心苦しいけど、風邪……と言うか、これは熱かな? まぁ、どっちにしろ、正直に言ったら、自分が移したと思って、気にしちゃうだろうし。

 

【ほんとに急用? 私の風邪が移ったとかじゃない?】


 水分を補給した私は、ベッドに戻ってきて、お昼頃には起きようと思って、目覚ましをセットしてから、スマホを覗くと、そんなメッセージが着ていた。

 ……付き合いが長いだけあって、感ずかれてる。


【違うよ】


 また、嘘を着いちゃったけど、私の自業自得のせいで、珠鈴が気に病んじゃうのは嫌だから、そんなメッセージを送った。

 そしてそのまま、スマホを適当に置いてから、ベッドに横になって、眠りに着いた。

 




 目覚ましの音が聞こえて、私は目を覚ました。

 ……目覚ましが鳴ったってことは、お昼、だよね。……まだ、体がダルい。重い。

 家に薬、無いのに……今からでも、珠鈴に言って、買ってきてもらおうかな。……いや、ダメだ。それじゃあ、珠鈴が気にしちゃうし。……仕方ないし、自分で買いに……行けそうにないな。

 

【ほんとに? 嘘じゃない?】

【璃花? 寝てるの? やっぱり、風邪、移しちゃってるの?】

【家、行くよ? お見舞い、行くからね?】


 珠鈴から、いっぱいメッセージが着てる。……でも、珠鈴には言えないから、また、嘘つかないとな。

 あ、桜井に頼もうかな。


 桜井の存在が頭によぎった瞬間、スマホが震えだし、珠鈴から電話が掛かってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る