どうしよう
「璃花、ごめん、ね……でも、璃花が悪いんだよ? 昨日、璃花の方からキス、してきて、凄い、嬉しかった。なのに、今日は私以外の人とご飯、食べてるって知って、心がキュッと締め付けられたみたいに痛くなったの。……ただ、一緒に食べてるだけって分かってるのに、嫌だった。もっと、珠鈴のこと、汚したくなった。……もう、我慢できないよ」
珠鈴の気持ちを聞いた私は、珠鈴と一緒で、我慢、出来なくなった。
私はそんな感情のままに動いて、珠鈴にキスをした。昨日したみたいに、自分から。
すると、珠鈴は大きく目を見開いて、困惑していた。
「へ、あ、あれ? り、璃花? も、もしかして……催眠術、か、かかって、ない?」
そして、状況を理解したのか、顔を青ざめながら、そう聞いてきた。
……どうしよう。なんか、感情のままに動いちゃった。……もう、バラしてもいいかな。ほんとは催眠術なんか無いんだって。……と言うか、バラス以前に、言い逃れ出来そうな状況じゃないし、言うか。
「あ、も、もしかして、催眠術で歯止めが効かなくなってて、催眠術にかかってない状態の璃花がしたいことをしちゃったってこと? ……えへへ、それだったら、嬉しいな」
……私がバラそうかバラさないかを考えて、黙ってるうちに、なんか、珠鈴が勝手に全然違う解釈をしてる。
どうしよう。さっきまで、言い逃れ出来ないから、言おうと思ってたのに、こんな言い逃れ出来そうな状況になったら、もう少し、この関係を続けたいって思っちゃった。
「あ、で、でも、どうしよう……風邪、移しちゃったかも」
別にいいよ。私からしたんだし、移せば治るって言うし。
「も、もし璃花が私のせいで風邪引いちゃったら、今度は私がお見舞い、行くから。……後、璃花のおかげで、私、もう少しだけなら、我慢、出来るかも。……だって、璃花は催眠術にかかってる状態で、何も命令してないのに、私とキスしてくれたもんね。……それくらい、私とキス、したかったってことだよね」
……キスをしたかったことは、正直、否定しない。好きな人とキスしたいって思うのは、自然な事だと思うし。
ただ、ごめん。催眠術にはかかってないんだ。だから、珠鈴が言うように、そこまで思いが強かったのかは分からない。
「じゃあ、璃花、いつも通り、辻褄合わせて」
そして、そんなことを思いながら、まだ、私が催眠術なんて無いんだと、言おうか言わまいかを考えていると、珠鈴に催眠術を解かれてしまった。
……今はまだ、いっか。
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