我慢、出来ない
【……璃花、今も、友達として、私が一番?】
いきなり、だと思う。
でも、私の答えは、直ぐに出た。
今は、一番じゃない。今の友達としての一番は、桜井だ。……だって、友達、今のところ珠鈴を入れて、二人しかいないから。
【今は違う意味で、一番かな】
違う、って言葉だけじゃ、絶対不安にさせちゃうと思ったから、私はそうメッセージを送った。
【私も、璃花が一番、だよ】
【ありがと】
珠鈴の気持ちは知ってたけど、こうやって、改めて言われるのは嬉しいな。
【授業、始まるから、またね】
【分かった。待ってるね】
珠鈴からそんな返信がきた瞬間、チャイムが鳴って、私はスマホを仕舞った。
この授業が終わったら、やっと珠鈴のお見舞いに行けるし、頑張ろ。
……なんか、私が珠鈴のことをそういう感じで好きって自覚してから、珠鈴と会うのが、親友として好きだった頃より、楽しみになってきてる……まぁ、好きなんだし、仕方ないか。
そんなことを考えながら、私は教科書とノートを取り出した。
授業がやっと終わって、放課後になった。
……いつもと時間割的には変わらないはずなんだけど、今日はほんとに長かった。
よし、珠鈴の家行こ。
早く珠鈴に会いたい。……なんか、これじゃあ珠鈴と付き合ってるみたいじゃん。
……いや、いつかはそうなるつもりだけど、まだ、違うんだから、こんな感じじゃだめでしょ。……私のわがままで、珠鈴を不安にさせて、付き合ってないんだから。
そんなことを考えながら、珠鈴の家に着いた私は、チャイムを鳴らした。
すると、直ぐに珠鈴が出てきてくれた。
「珠鈴、大丈夫?」
「うん。もう大丈夫だよ」
顔色は全然良かったし、だるそうな様子もないから、大丈夫なんだろうなとは思ったけど、私は一応そう聞いた。
すると、珠鈴は頷きながら、スマホを取り出して、催眠術の画面を私に見せてきた。
私は全然予想してなくて、びっくりしたけど、そんな反応は表に出さず、いつも通り、催眠術にかかってる振りをした。
「璃花、中、入って」
私は珠鈴に言われた通り、家の中に入った。
すると、珠鈴はいきなり私に抱きついてきて、顔を近づけてきた。
また、キスされる。そう思ったんだけど、私の予想とは違って、キスをされることは無かった。
……なんで? ……あ、なんか、ここでなんで、なんて思ったら、私が無理やりキスされたいみたいじゃん。……別に実際は催眠術にかかってる訳じゃないし、無理やりじゃないんだけどさ。
「風邪、移しちゃうよね。……キス、したいけど、だめ、だよね……」
……そういうこと。
別に、気にしないけどな。……風邪くらい、移ってもいいから、キスされたい。……い、いやいや、何、考えてるんだ私。
「璃花、頭、撫でて」
そんなことを考えてると、珠鈴にそう言われた。
私は言われた通り、珠鈴の頭を撫でた。
すると、珠鈴は嬉しそうに、私に抱きついてくる力を強めてきた。
「璃花、ちょっとだけ、ごめんね」
そしてそのまま、私の服の中に手を入れてきて、背中の方に手を伸ばしてきた。
そしてそのまま、私がしていたブラジャーのホックを外された。
珠鈴に抱きしめられてるから、ブラが落ちなくて済んでるけど、珠鈴が離れたら、ブラが落ちる状態になった私は、困惑していた。
いや、なんで私、ブラのホック外されたの? ……別にいいけどさ。珠鈴だし。
でも、なんで? 我慢、するって言ってなかったっけ。
「璃花、ごめん、ね……でも、璃花が悪いんだよ? 昨日、璃花の方からキス、してきて、凄い、嬉しかった。なのに、今日は私以外の人とご飯、食べてるって知って、心がキュッと締め付けられたみたいに痛くなったの。……ただ、一緒に食べてるだけって分かってるのに、嫌だった。もっと、珠鈴のこと、汚したくなった。……もう、我慢できないよ」
珠鈴の気持ちを聞いた私は、珠鈴と一緒で、我慢、出来なくなった。
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