今も、友達として?

「ごちそうさま」

「ご、ごちそうさま、です」


 食べ終わった私たちは、お互い、手を合わせながら、そう言った。

 美味しかった。……あれからスマホ、見てないけど、珠鈴からの返信、着てるのかな? とか、食べてる途中に気になったりしたけど、桜井の前で、それはかなり、不安にさせると思うから、スマホは取り出してない。

 

 正直、もうちょっと一般的に見て気まずい空間になると思ってたんだけど、私が思ってたより、話が弾んだ。食事中じゃなかったら、気まずいくらいの会話量だったかもしれないけど、私たちにしては、かなり弾んだ方だ。

 私はそんなことを思いながら、桜井と一緒に、食器を戻した。

 

「結構いい時間だし、教室戻ろうと思うんだけど、桜井は?」


 桜井も一緒に戻るとは思うけど、一応、私はそう聞いた。


「わ、私も、も、戻ります」

「ん」


 桜井の言葉を聞いて、頷いた私は、一緒に、教室に戻った。


「桜井、またね」

「は、はい、ま、また」


 そして、そう言って、桜井と教室の中で、別れて、私は自分の席に座った。

 時計を見ると、まだ少し、次の授業まで、余裕があったから、私はスマホを取り出した。

 珠鈴から返信が着てるかなと思って。


【誰と? この前言ってた人?】

【ただ、一緒に食べるだけ?】

【璃花? なんで既読つかないの?】

【何してるの?】

【私より、この前できたばっかの友達が大切なの?】

【友達としてだけど、私が一番って言ってたよね?】

【嘘だったの? 璃花?】

【ねぇ、何してるの?】

 メッセージの送信を取り消しました


 私は、なんか、やばい事になってると思って、返信を書こうとしたら、チャイムが鳴った。

 あ……いや、ちょっとくらい……ダメだ。先生が入ってきた。

 私は渋々、スマホを仕舞った。

 ……一人で食べるって言った方が良かったかな。……いや、後でそんな嘘がバレたら、それこそほんとに誤解されちゃう。……私が好きなのは珠鈴なんだから、それは嫌だ。

 早く、授業終わらないかな。……早く、珠鈴にただ一緒に食べただけだって、伝えたい。





 そんなことを考えて、授業を受けていると、やっと、授業が終わった。

 その瞬間、私は直ぐにスマホを取り出した。

 すると、また、珠鈴からのメッセージが溜まってたけど、それを無視して、私はメッセージを送った。


【ただ、一緒に食べただけで、変なことは何も無かったよ】

【ほんと? ちゃんと、お見舞いも来てくれる?】

【ん】


 すると、そんな返信が直ぐに返ってきたから、私は肯定の意味を込めて、一言、送った。


【……璃花、今も、友達として、私が一番?】

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