理由なんて、一つしかないと思うんだけど
今日は夜ご飯作るの面倒だから、コンビニで買ってから帰ろ。
私は珠鈴の家からの帰り道、そう思って、コンビニがある方向に向かった。
すると、直ぐにコンビニに着いた。
お弁当……なんでもいいや。
特にこだわりもないし、好き嫌いもないから、適当なお弁当を、私はレジに持って行った。
そして、それを買って、外に出た。
「あっ……く、楠さん」
「あ、桜井」
桜井が居た。挙動不審な感じで。
「桜井は何、買いに来たの?」
「わ、私は、お、お弁当、を、買いに、来ました」
「そうなんだ。私も、だよ。……これ、早く食べたいから、またね」
「あ、は、はい。ま、また」
私と同じで、お弁当を買いに来たらしい桜井にそう言って、私は自分の家に向かって歩き出した。
良かった。喋ることがなくて気まずくなる前にそう言って別れられて。
そう安堵しながら、私は家に着いた。
「いただきます」
手を洗って、適当に座った私は、そう言って、お弁当を食べ始めた。
色々疲れたし、今日もお風呂に入って直ぐに寝よう。
そう考えて、お弁当を食べ終わった私は、もうお風呂にも入って、後は寝るだけ……ってところだったんだけど、お風呂から上がってスマホを確認したら、珠鈴から通話が何回か掛かってきてた。
私が出なかったからか、メッセージも何件か溜まってる。
取り敢えず、私はメッセージを確認せずに、通話をかけ直した。
「もしもし?」
「り、璃花……今日の、最後のって、えっと、どういう、意味?」
……どういう意味? どういう意味って、キスする理由なんて一つしかないと思うけど。
「自分で、考えて」
ただ、まだ言いたくないから、私はそう言った。
「わ、私以外にも、した事、ある?」
すると、珠鈴は泣きそうな声でそんなことを聞いてきた。
え……いや、嘘でしょ? 私のこと、誰とでもキスする女だと思ってるの?
「あるわけないでしょ」
「じ、じゃあ、な、なんで?」
「……だから、自分で考えて。いつか、言うから」
「う、うん」
私がそう言うと、珠鈴は頷いてくれた。
もうほぼ私の気持ちを言ったようなものだけど、別にいいか。
「話、それだけ? だったら、私眠いから、もう寝たいんだけど」
「あ、う、うん。いきなり掛けてごめんね」
「別に、いいよ」
そう言って、私は珠鈴との通話を切った。
そしてそのまま、目覚ましをセットしてから、ベッドに寝転んで、目を閉じた。
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