もうほぼ確信してるけど

「お邪魔します」


 そう言って、私は珠鈴に着いて行って、珠鈴の家に入った。


「うん。私の部屋、行こ」

「ん」


 そう言う珠鈴に案内されて、私は珠鈴の部屋に入った。

 案内って言っても、場所くらい、知ってるんだけどさ。一応、ね。

 

 ……珠鈴の匂いがする。

 部屋に入ってすぐ、私はそう思った。

 なんか、変態っぽいけど、人の部屋って、その人の匂いがするもんだし、仕方ないと思う。

 ……私の部屋に珠鈴が来る時、珠鈴もこんなこと、思ってるのかな。……なんか、そう思うと、恥ずかしくなってくるけど、そうだとしても、お互い様か。


「璃花? 適当に座っていいよ」

「ん、ありがと」


 そんなことを考えながら、突っ立てると、そう言われたから、私は珠鈴のベッドを背もたれにして、座った。

 

「漫画、読んでいい?」


 なんか、ベッドの上に漫画が置かれてたから、私はそう聞いた。

 もう座っちゃったし、すぐそこの手の届くちょうどいい場所にあったから。


「うん。もちろんいいよ」


 そして、いいと言って貰えたから、私は手を伸ばして、その漫画を手に取った。

 ……ん? あ、これ……女の子同士の、恋愛話じゃん。

 ページを開いた瞬間、すぐにそう気づいた。


「あっ、ま、待って、璃花! よ、読んだ?」

「あ」


 私は気にせず読み進めようと思ったところで、珠鈴は焦ったようにそう言って、私からその漫画を取り上げてきた。

 え……ちょっと面白そうって思ってたのに。


「読みたいから、返して」

「えっ、り、璃花、これ、興味、あるの?」


 単純に面白そうだと思ったってのもあるけど、今、私の気持ちを確定させるためにも、ちょうどいいと思うから、読みたい。


「ん。読ませて」

「う、うん……こ、こういうの、璃花も、好き、なの?」

「……まだ、分かんない」


 珠鈴の事はもう好きってほぼ確信してるけど、こういう漫画を好きかは分からないから、私はそう答えた。

 

「そ、そうなんだ」


 すると、珠鈴は何かを期待したような感じで、私にさっきの漫画を渡してくれた。

 

「ありがと」

「う、うん」


 珠鈴にお礼を言って、私は漫画を読み始めた。

 すると、珠鈴は私の横にちょこん、と座ってきた。

 何をするでもなく、ただ、座って、私に少し遠慮するように、もたれかかってきた。


 

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