最悪、別にいいよ

「ごちそうさま」


 うどんを食べ終わった私は、手を合わせて、そう言った。

 珠鈴の方を見ると、珠鈴はまだ、たべおわってなかった。

 ……まぁ、あれからも、チラチラ、なんでか分からないけど、私の食べてるところを見てきてたから、私より遅いのは仕方ないか。……なんで見られてたのかは未だに分からないけど。


「珠鈴、私、これ返してくるね」

「……分かった」


 そんなことを思いながら、そう言って、珠鈴の返事を聞いた私は食べ終わった食器を持って、席を立った。

 

「ごちそうさまでした」


 そして、小さくそう言って、私は食器を返した。

 食器を返した私は、直ぐに、珠鈴の元に戻った。


「ただいま」

「おかえり。私も食べ終わったよ」


 すると、珠鈴も食べ終わってたみたいで、そう言ってきた。


「ん。じゃあ、それ戻して、一緒に教室戻ろ」

「うん」


 私はそう言って、食器を持って立ち上がった珠鈴について行った。

 

「ごちそうさまでした。美味しかったです!」


 そして、珠鈴は食器を返しながら、私とは違って、ハッキリとした声で、そう言っていた。

 

「璃花、一緒に来てくれてありがとね」


 そして、笑顔で私の方を向いて、そう言ってくれた。


「戻るついで、だし」


 ……私も、絵、上手かったら、一限目の美術の時間、こうやって笑ってる珠鈴を描くのに。

 珠鈴の笑顔を見て、そう思いながら、私はそう言った。


「それでも、嬉しいよ」

「……早く、戻ろ」

「うん」


 私は珠鈴の笑顔を見てると、胸がドキドキしてきたから、ぶっきらぼうにそう言って、教室に向かって歩き出した。

 最近、珠鈴を見てると、ドキドキすることが多くなってきた気がする。……もしかして、好き、なのかな。

 ……まぁ、まだ時間はあるだろうし、ゆっくり考えよう。……付き合うとか、そういうこと、したことないから、真剣に考えたいし。

 ……付き合う前に、キスされちゃったわけだけどさ。……それに関しては、最悪、別にいいよ。親友だし。


「あ、璃花、これ、見て」


 私がそんなことを思っていると、何故か、催眠術の画面を珠鈴に見せられた。

 え、今? しかもここ、人いっぱい、いるよ?


「まだ、お昼休み時間あるから、着いてきて」


 なんで今なのか、いつもみたいに疑問に思いながらも、私は言われた通り、珠鈴に着いて行った。

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