じっと見つめられたら、恥ずかしい
「二限目、なんだっけ」
珠鈴と教室に戻る途中、私はそう聞いた。
さっきの絵を見た恥ずかしさを誤魔化す為ってのもあるけど、普通に、覚えてなかったから。
「確か国語だったよ」
「あぁ、国語……珠鈴、ありがと」
「うん」
まぁ、国語は適当に話を聞いてたらいいだけだから、楽でいいや。
そんなことを思いながら、適当に珠鈴と話していると、直ぐに教室に着いた。
そして、4限目授業が終わって、お昼休みが始まった。
「璃花、一緒に食べよ」
「ん」
そして、前に座ってた珠鈴がこっちを向きながら、そう言ってきた。
いつもの事だし、私は驚いたりせずに、直ぐに頷いて、一緒に食堂に向かった。
「あ、珠鈴、今日はお弁当、持ってきてないんだ」
食堂に向かう途中、私は隣にいる珠鈴に向かって、そう言った。
「うん。今日は時間が無くて」
……まぁ、そうだろうね。
だって、あんな早くから、私の家に来てたんだから。
「そうなんだ。何食べる?」
「んー、よくわかんないから、璃花と同じのでいいや」
いつもお弁当だから、学食とか、見ないもんね。
じゃあ、私は珠鈴が好きなやつ頼もうかな。……もちろん私も好きなやつ。
「……あ、じゃあ私、このうどんにしようかな。珠鈴もこれでいい?」
「うん」
人目見て、うどんが食べたい気分になった私は、そう言った。
もちろん珠鈴が嫌なら帰るつもりだったけど、頷いてくれたから、私はうどんを頼みに行った。珠鈴と一緒に。
「いただきます」
「いただきます」
そして、適当な席に座った私たちは、お互い、そう言って、ちゅるちゅるとうどんを啜って、食べ始めた。
「…………何?」
何故か、珠鈴が私のうどんを啜るところを、見てきてたから、恥ずかしくなって、そう聞いた。
別に、啜るところを見られるくらい、全然いいんだけど、そんなに、じっと見つめられたら、流石に私も恥ずかしくなってくるし、やめてほしいんだけど。
「え、い、いや、なんでもないよ」
……なんでもなくない感じで言わないでほしいんだけど。
んー、思い返してみると、顔を見てたって言うより、私がうどんを啜る口を見てた? ……いや、その方が意味わかんないでしょ。
もういいや。わかんないし。さっきみたいにじっと見られなかったら、なんでもいいや。
そう思って、私はそのまま、うどんを啜って、珠鈴と一緒に食べ進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます