女の子同士で親友なんだから
「り、璃花、お、起きて」
私が寝たフリをしていると、珠鈴がわざとらしく、そう言ってきた。
まだ、気持ちの整理が出来てないけど、私は今起きたフリをしながら、目を開けた。
「……あれ、なんで、私、珠鈴に膝枕されてるの」
珠鈴と違って、私は演技に自信があるから、絶対にバレないと思いながら、そう言った。
「り、璃花かが、き、急に眠くなったって言って、ね、眠っちゃったんだよ」
珠鈴は私から目を逸らしながら、そう言ってくる。
……これじゃあ、私がほんとに催眠術にかかってたとしても、何かがあったって分かるよ。
そう思いながら、私は珠鈴に催眠術がどうなったのかを聞いた。……流石に聞かないのは不自然だと思ったから。
「か、かからなかったよ。や、やっぱり、催眠術なんて、う、嘘ばっかりだね」
「そうなんだ。……でも、私、眠った時の記憶が無いんだけど、ちょっとはかかってたんじゃない?」
珠鈴がどう答えるのかが気になってきてしまった私は、そう聞いた。
「そ、れは、ど、どうなんだろう、ね」
あはは、と笑いながら、珠鈴は何かを誤魔化すように、そう言ってきた。
「……まぁ、いいや」
そう言いながら、私は珠鈴の太ももから、起き上がった。
そして、珠鈴の方を見ると、珠鈴が顔を赤くしながら私の唇を見ていることに気がついた。
その反応で、私は珠鈴が何をしたのかを察することが出来たけど、女の子同士だし、親友なんだから、意味がわからないと思って、気が付かないフリをした。
「り、璃花、わ、私、き、今日は、か、帰るね」
「え、うん。……分かった。また、明日ね」
「う、うん」
珠鈴はそう言って、顔を赤くしながら、私の家から出ていった。
そして、それを見送った私は、唇を触って、首を振った。
「よ、夜ご飯の準備しよ」
私はそう呟いて、キッチンに向かった。
そのまま、夜ご飯を作って、食べてから、直ぐにお風呂に入って、眠りについた。
珠鈴がどういうつもりであんなことをしてきたのかは分からないけど、今、考えても仕方ないと思ったから。……一応、好きって言ってたけど……女の子同士、だし、親友、だし。……そう考えながら。
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