第5話 女医さんと待ち合わせ

さーて、名残惜しいけどそろそろ送って行こうかな?


ほんとーは、せっかく久しぶりに会えたから

帰って欲しくないくらいなんだけどね



君も風邪ひきさんだし


再会してすぐお泊まりは、軽い女だと思われたらいやだし!


私のすっぴん見られるのも恥ずかしいし!






それに……私のボロが出てもいけないしねー?


んー? あはは、なんでもない


じゃあ、行こっか




――場面転換


※車の音がして止まる


この辺りかな? 君のお家。


そっか。ん



あーあ、着いちゃった。寂しいなー


じゃあ、お大事にしてね


あ、お薬ちゃんと飲んでね?

(おせっかいな感じ)


え? わかってる?


あはは、それもそっか

(明るい感じ)




じゃあ……また会えるの楽しみにしてる

(大人っぽく、さっきの声と少しギャップを付けて)


またね、おやすみなさい

(少し知的な感じ)


※車が去っていく音




――場面転換

(病院の前で待ち合わせ)



※ざわざわとした環境音

※自動ドアが開く音


あ! お疲れ様ー


へへ、お待たせ


ごめんね、待たせちゃって


ちょっと診察時間伸びちゃったりしてたから遅くなっちゃった




看護師にね、『先生今日珍しくおしゃれですね。デートですか』って言われちゃった


そりゃ、初恋の人に会うってなったら張り切っちゃうよねぇ?


あ、言っちゃった。

(手で口元を隠すイメージ)



※二人の歩く音


私の初恋は君なんだー


まぁ、自分からアプローチしたりはしなかったけどね


あの頃は医大に進むって決めてたから勉強に夢中だったし


でもやっぱり毎日窓から君のこと見てたし、君に彼女出来たと知った時は

しばらく勉強が手に付かなくなったし、初恋だったんだなって思うよ



その後もさー、いろんな人に告白されたりはしてたけど、

向こうから寄ってくる人って興味持てなくて


勉強ばっかりしてたから気付いたらこの歳になっちゃってた


他の子達はみんな、しっかり勉強しながらも学生時代から彼氏作ってて、


研修医時代には結婚しちゃってたりするんだよねー


しまったーって感じ



医者になった後は出会いもないしさ



あ! ごめん、愚痴っちゃった!


……そんなわけだから、私は君を堕としたいと思って誘ってるんだけど


いいかな?

(主人公を見つめながら言うイメージ)



へへ、そんな顔しないでよー

(さっきと緩急つけて、ここはゆるく、

冗談ぽい明るい感じで)


君の奥手なとこも好きなんだよ




私の見た目とか医者の肩書きに寄ってくる人に興味はないの


前にね、お医者さんといい感じになって付き合ったこともあるんだけど


お医者さんって女医と違ってモテるんだよね


お互い忙しいから時間も合わなくてすれ違いになっちゃうし


いつの間にか若い看護師と浮気されて終わっちゃった




そーゆーのもあって、同業種の人は私には合わないのかなーなんて思ったりしてたら

余計出会いがなくてさ



けど、私だってやっぱ寂しいんだもん


だから、いいなって思った人には積極的になろうと思って


……でも、きらわれたらいやだから、いやな時は嫌って言って?


私そんなに恋愛上手なわけじゃないからね



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る