第16話 レイズアライブ
ゴローちゃんと焼き肉を食べた後、俺は萩原厩舎に顔を出した。
「待ってたよ。アキト。案内する」
萩原先生は懐中電灯を持って厩舎の奥に行った。そして一番奥の厩舎の馬を見せる。
「レイズアライブじゃん」
レイズアライブは朝日杯でコースレコードを出し、夢の三冠馬と言われた知る人ぞ知る馬だ。朝日杯後は皐月賞二着、日本ダービー二着、菊花賞二着で朝日杯後、一勝もしていない。世代最強の二勝馬とも言われている。
「うっうん。アキト君はG1馬に乗ったことはあるかね?」
「ないよ。乗っていいの?」
「こいつの次走はオールカマー。仕上げは七割。それでオールカマーに勝てるかな?」
「主戦騎手ヨシノリ大先生じゃん。恨まれて刺されたりしない?」
「僕は根気強く待った。ヨシノリがG1を勝つのを。恨まれるような案件じゃない」
「調教は?」
「こちらで付ける。そこまでお前を信用してない。本命は天皇賞後のマイルCSだから」
「まあそうか。作戦は?」
「時計は持ってるから切れる脚はある。番手中盤で4コーナーで仕掛け。外を回しすぎるな。この馬は馬込みはむしろ得意だ」
「それって馬込みに突っ込む腕があればだよね?」
「そこを避けて通ったらお前に成長はないよ。事実ほぼ終わってる馬だし負けるのはいい。ただし負け方は選べ」
「勝ったら? 次は?」
「本番はもうマイケル・ベルモントを手配してある」
マイケル・ベルモントは通称、ゴールデンボーイと呼ばれる海外からの短期免許で乗ってるイギリス人騎手だ。ゴールデンボーイというのは元々は馬の名前で、欧州三冠馬だ。その主戦が若きマイケル・ベルモントだった。
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