第9話 お前がベスト
ラジオNIKEEI賞で5番人気のアイノフラワーで逃げ、二着に入れたアキトは、タタルカンの調教に乗った。馬なりで始めて少し追ってみたが、アイノフラワーとはパワーが違う。なるほど一線級の馬とはこうも走るものなのかという感想をアキトは持った。
「どうだ、アキト。タタルカンは」
斎藤厩舎の調教助手、松沢仁がそう訊いた。
「パワーが違う。重賞もこいつなら楽に勝てるよ」
「そうはならんさ。こいつ程度の馬ならなんぼでもいる。だがアイノフラワーとの違いに気が付いたなら、お前は本物だ」
「そうかい? こいついつデビュー? 仁さん」
「一か月後だ」
「早いね」
「早熟馬で仕上がりは早い。血統はステイヤーよりだが気性は荒すぎて距離は持たない。マイルまでだろう。芝の1200で下ろす予定だ」
「俺が乗っていいの?」
「お前がベストなんだ。この馬は。そう思いあがるくらいの気持ちで乗れ、アキト」
松沢はアキトの肩を叩いて言った。
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