冬と錆

赤端 独楽男

冬と錆

氷点下敗句はいくと喘ぐ狗の舌


吾が温み湯気立つ糞に預けけり


セーターから首出すまでに生きて死ぬ


蛮人になれかし内も外も毛皮


掌に飼い慣らしてゐる静電気


凍てし顔頭蓋皮膚髭確かめぬ


警備員氷柱のごとく立ち居けり


凩過ぐ「いる意味ねえとイルミネイト」灯り背に


冬新月回文のやうなネオンサイン


鍋独身牛になつても狭かろう


雪見の露天距離を測りかねてゐる


鼻毛伸びる音する日曜深夜なり


薬味をばつけるつけない鍋の際


万策尽き寝ても覚めても大晦日


除夜の鐘突き損じたり冷手水


初日の出見ずや地下鉄環状線


吾墨画の文人のごとく初仕事


門松の陰にも霜の生残り


啓蟄や帰路に地べたもなかりけり


肉饅頭喰いたくもなし春隣


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冬と錆 赤端 独楽男 @a_konmao

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