第13話
''神に愛された子''と、前世を知る者は呼ばれているらしい。
レオはこれを聞いてまず初めに、僕だけじゃなかったんだと安堵した。
転生には様々なパターンがあって、レオのように今世の人格に前世の記憶が付随するパターンや、前世の人格のまま今世に誕生したり、エピソード記憶は無く知識のみ引き継ぐ人もいたらしい。
もう十分神の愛を受けているため、神聖魔法は使えない。そんな言い伝えもある。
「僕がもし、前世の僕だったとしても愛してくれた?」
「ああ」
父はすぐに頷く。
レオは嬉しそうな顔で父を見つめてから、母を見る。
すると、母は穏やかな顔で応えた。
「レオはレオでしょう? 愛してるわ」
果たして、今のレオは前世の人格に影響されていないといえるのか。
そういった不安がレオにあったとしても、かき消す意図があったエレナ。
実際のところ、レオにとってはなんだか正確に理解しきれなかった返答ではあったものの、嬉しいことに違いはなかった。
「それでね、僕、きっとこの記憶のおかげで、マナちゃんよりちょっとお兄さんだと思うんだ」
ちょっと照れたような表情で話すレオ。
エレナとアストはその後の言葉を察して、温かく笑ってみせた。
「だから、マナちゃんを守ってくるね」
きっと、マナちゃんは傷ついてる。
普段は口数も少なくて、表情もあまり変わらないけど。
好きなことはよく話して、色んな表情をする子だから。
絵本のお姫様の登場シーン。
絵の周りのきらきらの魔法できないかな、といわれた時のマナちゃんの表情を覚えてる。
絵本よりきらきらしてたよ。
僕が、ただの絵本の演出だよなんて口を挟めないくらい、色んな言葉をマナちゃんが喋ってた。
あれは、これはって色んな事に気づけるマナちゃんが、あの事故で何も思わないはず無くて。
だから、助けてあげなくちゃ。
マナちゃんの家に行くと、昨晩の出来事から部屋を出てないんだって。
ユリさんの許可をもらって、お家に上がらせてもらう。
そして、マナちゃんのお部屋の扉の前。
「マナちゃん」
声をかけると、扉が開く。
ちょっとびっくりした。
お部屋にとじこもっちゃっているなら、出てきてくれないかもと思ってたから。
でも、単に出てきてくれたわけではないって分かる。
マナちゃんの目が、まるで探るように僕の顔を見てたから。
「怖かったね」
「……うん」
何が、とは言わない。
1つじゃないと思うから。
「1番何が怖かった……?」
「……」
考えるように黙り込むマナちゃん。
沈黙が少し耳に痛い。
「僕は、魔法が怖かったな」
「……え?」
きっと、マナちゃんもそうだったと思うから、僕からそう言う。
「魔法を間違って使うと、きっと簡単に人が死んじゃう」
「……うん」
とても不安そうな顔で、それでも真っ直ぐに僕の顔を見つめるマナちゃん。
何を考えているのかまでは分からないけど、塞ぎ込んじゃうような考えをしているのは分かる。
だから僕は、吹き飛ばすように笑って見せた。
「だから、もっと上手く使えるようになろうね。2人で」
「…………約束」
ほっとしたようにマナちゃんの表情が柔らかくなった。
そうだよね。
自分の魔法が意図せず人を傷つけちゃったら、怖いよね。
マナちゃんが魔法を嫌いにならないように、怖がらないように、2人で一緒にーー
「私は、レオが私に背中を向けたのがいちばん怖かった」
……え、ぼく?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます