第8話
魔力とは内魔力と外魔力の2種類がある。
体内の魔力と空中に存在する魔力だ。
区別されるだけあって、大きな違いがある。
それは内魔力は体内でしか変質せず、外魔力は外界でしか変質しない。
具体的に説明すると、体内の魔力は身体の中で魔法として火に変わることが出来る(危ない)が、体外に放出しても内魔力が魔法として火に変わることが出来ない。
では、どうやって魔法で火を起こしているか。
それは、内魔力を外に放出して、外魔力に作用することで魔法となるのだ。
火を起こしたいという思いを乗せた内魔力が、外魔力と接触して初めて外魔力が火として変質するのだ。
では、ここで疑問に思って頂きたいのが、レオの身体強化魔法。
内魔力によって身体を強化する、体内で完結する魔法であるが、レオは体外に白いオーラのように魔力が変質していた。
体外で白色に変質しているなら外魔力が関与しているはずである。
だが、身体強化魔法は内魔力で完結する魔法である。
この矛盾点が、この世界で異例であり、エレナが違和感を覚えた原因である。
「マナちゃんは、自分の魔力ってわかる?」
「……ううん」
魔法の練習のため、レオとマナは庭に出ていた。
エレナとユリも庭に出て、2人の様子を見守る。
レオは、体内の感覚をどう説明したらいいかなぁと考えながら、色々な言葉をかけていく。
「身体の中に集中してみて? 何かもやっとするものない?」
「……ない……かも……?」
などなど、思いついては試し、を繰り返していた。
力を抜いている時、筋肉を意識することは難しい。
それと似た理論で、魔力を初めて意識するというのは難しいことなのだ。
なら動かしてあげればいいんじゃ?
そんな思いつきをレオはした。
自身の魔力を操り、マナに触れようとする。
だが、なんと弾かれてしまうのだ。
自身の内魔力と他人の内魔力は反発する。
それを初めて知ったレオだった。
エレナとユリはそれを常識として知っていたため、面白い発想を試すわねぇと関心して話す。
エレナが、そうなのよ、斬新な考えをするのよレオって、と自慢げに雑談していた。
レオはこれじゃダメなのかぁと分かるや否や、おもむろにマナの手を握る。
「……なぁに?」
「……うん、ちょっと試したくて」
では、ゼロ距離ではどうか。
そういった試みであるが、結果は同じくレオの魔力はマナに触れられない。
だが、生まれつき魔力に敏感なレオは、マナの内魔力を鋭敏に感じ取ることができた。
外に存在する魔力とはもちろん、自分の魔力とも違う感じなんだなとレオは知る。
じゃあ、マナちゃんの魔力に合わせてあげればどうかな。
改めていうが、内魔力は体内でしか作用しない。
それをレオは、内魔力をマナの魔力に変質させて操った。
その魔力は、マナの魔力とは当たり前のように反発せず、混じり合う。
「っ!?」
ぞわっとしたかのように、マナが体を震わせると、レオは魔力の操作を慌てて止めた。
大丈夫? と様子をうかがうレオにマナは口を開く。
「わかった……かも……」
「ほんと!?」
体内で意識外に動く魔力。それによってマナは自身の体内に満ちる魔力を自覚することができた。
それと同時に、動かすこともでき、マナは魔力の自覚と操作を一辺に会得する。
「うん……わかった……」
「やった!」
手を繋いだまま確信とともに静かに喜ぶマナと、自分の事のように喜びはしゃぐレオ。
レオは魔法の第1歩を教えられたよという報告の意味で、2人の母を見やる。
そこで、唖然とする2人に気づくのだった。
内魔力には、様々な個人差がある。
量や密度、外魔力への影響力や、自身の思念への感受性などなど、多くの違いがある。
何を言いたいのかというと、他人の魔力を正確に感じ取ることはもちろん、正確に調律することも困難……というか不可能なはずなのである。
そもそも、相手の体内にある内魔力に干渉できるということ自体、異例というか、問題というか……。
とにかく、一般的な魔法の常識を持つエレナとユリにとっては、ツッコミが追いつかなーい!といった状況なのだった。
そんな2人の葛藤を知らない2人は、手を繋いだまま、こてんと首を傾げるのであった。
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