第7話
魔力操作を会得してから、レオは今まで以上に生き生きとしていた。
すぐに身体強化魔法の会得に移行して日々を過ごす。
どうやら、エレナのような皮下に魔力を集める方法や、アストのような魔力を練り上げるような動きでは、レオは身体強化魔法を発現できないようだ。
様々な試行錯誤を経てたどり着いたのは、体外に纏う方法だった。
体内で完結するはずの身体強化魔法で、体外に魔力を発現させるレオは異例である。
「……目立つわね。というか、どうしてか気になるのよね……何に引っかかるのかしら」
「……? でも格好いいよ?」
身体強化魔法を使用しているレオは、まるで湯気が体から立ち込めるように、白いオーラを纏っていた。
魔力は本来、無色であり物理的な面はないため、白色を帯びることも、ゆらゆらと空中に消えることもない。
つまりは、自身の強化におけるレオのイメージを、魔力が汲み取ってこの形態で発現しているのだ。
前世の記憶にある物語の影響だろう……。
レオがその状態のまま庭を走れば、いつもより若干速く、活発に動いている……気がする。
身体能力向上の幅は、今後のレオの研鑽と発想次第であろう。
そんなこんなで、身体強化を会得して、効果の確認や更なる磨き上げを行う日々。
魔法を使えるのと、使いこなすのとは違うのだ。
身体強化について、様々な試みを行った結果、今のところ明らかとなったのは普段より明らかに長く動ける……つまり体力の強化作用が大きいことが分かった。
その事について朝食で家族と話していると、耐えきれないといった様子で、レオが立ち上がる。
「ふふ、良いわよ。今日はママとマナちゃん家に行ってみましょうね」
レオは、覚えたての魔法をマナに教えることを楽しみとしていたのだ。
それをレオが言わずとも分かっていたエレナは、やる気な表情で立ち上がったレオを見て、もう我慢ならないのだろうと察した。
今日突然訪問しても、ユリとマナの都合がつくとは限らないので、レオにはマナと勉強の約束をするためのお出かけだからねと伝える。
朝食後に手土産と出かける準備、不在の時のための置き手紙の用意を始める。
レオは我慢できずに魔法書を抱きしめて、母の準備が終わるのそわそわしながら待つのだった。
「ユリー? いるかしらー?」
レオ達がマナの家に到着し、エレナが声をかけると、少しして扉が開く。
「エレナ! いらっしゃい。レオちゃんもこんにちは」
「こんにちは!」
ユリに家の中へ招かれ、2人は家に上がる。
真っ先にレオの目は、食卓で絵本を開いているマナに向かった。
その様子に母2人は微笑む。
エレナはユリに目で確認し、了承を得てからレオの背に軽く手を置く。
自分で誘ってみなさい、という意図を汲んで、レオはマナの近くに歩み寄った。
「マナちゃん、僕と魔法の勉強しない?」
「……」
マナは絵本から目を離して、レオを見てからユリを見る。
ユリは静かに頷くと、マナはこくんと小さく頷くのだった。
この日、エレナとユリはレオの異質な才能を目の当たりにすることになる。
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