第21話
数日後。
「ここが……遊園地!」
「来たことなかったのか?」
「うん。時間が無かったからね」
俺たち二人は今、家の近くの遊園地に来ていた。
なんでも最近できたところらしくて、白戸さんが学校でおすすめの遊園地を聞いてきたところこの場所の名前が出たんだとか。
「それじゃあ入場券買いに行こうか」
「うん!早く行こ!!」
「お、おい腕引っ張るなって!そんなに急がなくてもすぐに入れるから!」
今すぐにでも遊びたいとばかりに俺の腕を強く引っ張ってきた。こんなハイテンションな彼女は見たことが無い。
早速俺たちはチケットを買ってから遊園地の中に入った。
「おーーーーーーー!!!!」
入って早々白戸さんが初めて見る光景に目を光らせる。
今ここに入場した子供以上に子供になっている。
「は、早く行こう!!最初はジェットコースターに行こ!最初に乗るのはこれだって学校でおすすめされたの!どんなのか知らないから凄く気になってるんだよ!」
「お、おう……」
そう言えば前見たチラシでこの遊園地の一番の売りが国内最大の高さを誇るジェットコースターだった気がする。
それに彼女の苦手な物の中に確か──
「え」
高いところがあった気がする。
「これがジェットコースターだけど……乗る?」
「え、えっと……」
と、その時だった。
白戸さんのポケットからブーブーと振動音が。どうやら彼女の携帯にメールが来たようだ。
「……え」
そしてその内容を読んだ彼女の顔がどんどん蒼白になっていく。
俺は後ろから何が書いてあったのかちょっと見せてもらった。
『ジェットコースターに乗った感想教えてね?あ、乗ったって嘘ついてもすぐに分かるからね~』
……流石白戸さんの友人。こうなることを見越してこうして逃げ道をふさいできた。
「それで、これに乗る?」
別に俺はジェットコースターに乗るのは何の問題もない。どころか、俺は少しだけ乗るのを楽しみにしている。
久々のジェットコースター。それも、かなりの刺激を味わえそうな高さをしている。
しかし白戸さんにとってはその刺激は毒となる。
「……乗る」
どうやら覚悟を決めたようだ。
その目は死地に赴く兵隊のように険しくなっている。
「それじゃあ並ぼうか」
「……」
無言で彼女は頷いた。
それだけで彼女がどれくらい高いところが嫌なのか、よーく伝わってきた。
一時間並んで俺たちは隣り合う形で乗った。
『それでは~、しゅっぱーつ!』
アナウンスと共に、ゴトン、と少しだけ乗っているジェットコースターが揺れた。
と、同時に動き出す。
「すぅーっ、ふぅーっ!!!」
「……そんなに深呼吸しなくても」
「勢登さん、ここは……恐ろしいところなんだよっ!!」
「……大丈夫だよ?」
そしてゴトンゴトンと揺れながら少しずつ上がっていく。
それと同時に隣の白戸さんの顔もどんどん険しくなっていく。
するとおかしくなったのか、突然何か話し始めた。
「……神は上空の、それも遥か彼方に存在している」
「あ、あの……白戸さん……?」
そしてジェットコースターはいよいよ頂点に達した。
「神が……ここよりも上にいるだと……?」
「あ、あの白戸さん急に何言って──」
「黙って乗ってみればなんだ、これで神の座へと昇ろうとしている……だと?」
「──神は死んだっっっっ!!!!!」
「……は?」
ストレスがかかりすぎていたのだろうか。そんなに嫌だったら乗らなきゃよかったのに、なんて思うのだが……まぁ、友人想いのいい子だと思うことにしよう。
***
「──見つけた……!」
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遅れてすみません。
パソコンがネットにつながらない場所に行ってました……。
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