第17話 仲間の後押し
「なぁ、やっぱりあの二人って何かあるのか?」
「わかんないよ!」
「くっそ〜、なんで
この前同様、僕と
改めて黒木さんと友達になった事の凄さを思い知らされた気がした。
「ほら静かにしろ〜」
クラスの反応に先生が注意喚起をする。
その様子から、やはり僕が実行委員じゃないかと思われ始めた時はわざと注意しなかったらしい。
「んじゃ、後の事は頼んだぞー。二人とも」
「えっ」
僕の肩をぽんと叩いてから高森先生は教壇を降りる。
それから隅の方でパイプ椅子に腰を掛けた。
どうやら、これから先の事については完全に僕と黒木さんに丸投げするらしい。
とはいえ、悪い意味ではなく。先生はこの前の放課後の時点で僕と黒木さんに文化祭実行委員の役割について詳しく説明してくれているのだ。だから言葉の通り、僕と黒木さんで進行できると踏んでの事だろうな。
「…………」
だけど、黒木さんの表情がいつも通りなところを見ると、メインで話しを進めていくのは僕と言う事になりそうだ。
どっちみち男の僕がしっかりしなくちゃいけないんだけど……。
さて、まずは。
「えっと、このクラスの文化祭実行委員になりました要
「……黒木
なんとか僕から繋いだパスに、黒木さんも自己紹介をしてくれたけど。
ぱち……、ぱちぱち。
まばらに聞こえてくる小さな拍手の音。
クラスの雰囲気は好調……とはいかなそうだ。
おそらく、これが今の僕たちに対する生徒達からの素直な反応。
僕が期待されないのは仕方のない事だけど、人気のある黒木さんでさえこんな感じだ。
クラスの中心に立ってする役目というだけあって、その人物にこの役職が合うか合わないか。それをみんなよく理解している。
一言でいえば、不安なのだろうな。
パチパチパチパチ!
「……!」
そんな不穏な空気の中で、一際目立つ拍手をしてくれたのが二人だけいた。
そのうちの一人は。
「ほらお前ら! 普通は面倒くてやりたくない仕事を引き受けてくれた奴らが前にいるんだ。ちゃんと拍手しろっ」
担任である高森先生が僕たちの背中を押してくれるようにフォローしてくれる。
「は・く・しゅ・しろ!」
その声に引かれて……。
「……しろや」
『っ!』
いや、正確には先生のちょっと怖い眼光に負けて多くの生徒がもう一度拍手してくれた。
やっぱこの先生怖え〜。
それと、もう一人最初に拍手してくれたのが。
「……
拍手に掻き消されて僕の呟いた声は誰にも届いていないだろうけど。僕の視線に気づいた幼馴染の新太が笑顔で答えてくれる。
頑張れ! そう言われている気がした。
新太には、黒木さんとの関係で騒がれた日の夜に、何があったのかをスマホのチャットでそれとなく伝えていた。
黒木さんとの友達になるまでの経緯について、知る人はいない。だが、長い付き合いで親友とも呼べる関係の新太に何も伝えないわけにはいかないと思い行動に移した。
それだけあの日の教室で見せられた新太の表情に心が痛くなった。
何も分からずにいた新太の顔を思い出すとそうせずにはいられなかったんだ。
でも、事情を知った新太はこうして応援してくれている。
数少ない期待を寄せてくれている人たちの為にも、精一杯がんばろう。
「……それでは、さっそく文化祭での出し物について話し合いを進めたいと思います」
僕は、拍手が鳴り止むのを待ってから本日の議題について話す。
「やりたい物や意見があれば、挙手をお願いします」
そうして、クラス全体での文化祭の準備がスタートを切ったのだった。
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