5 新しいヒト

「覚悟、できてるんだな。分かった、じゃあ、ついてこい」

 そう言って、明石あかしは歩き出した。




 そして着いたのは、夜中の学校だった。

「夜の学校、怖いです。幽霊とか出そうで」

「幽霊出してたやつが何言ってんだよ、ほら、進むぞ」

 後輩の手を引いて、先輩はまた歩き出す。


「ここだ」

 明石が止まったのは、元調理室――――現霊明部部室の前だった。

「えっと、ここがどうしたんです?」


「これからはお前も、ここに住むんだ」


 一瞬、呼道の時間が止まった。


「え?ここに?てか、お前”も”ってことは先輩、ここに住んでるんですか⁉」


「そうだよ、前に言わなかったっけ?」


「き、聞いてないです」


「で、どうする?ここに住むか、母親のところに戻って一緒に暮らすか。ここに住むならもちろん俺が先生に交渉しよう。まあ俺も住んでるし、大丈夫だと思う。だが」


「だが?」


「千利、お前には霊明部に入ってもらう。お前は霊的現象を起こした張本人だ。きっと練習すれば俺みたいに出来るようになるだろう」


「……僕が、先輩みたいに、なれるんですか?」

 呼道が明石をじっと見つめる。


「ま、頑張ればな」

 明石は苦笑いをしながらそう言った。


「人を、誰かを、救えますか?」


「……かもな。俺もできてるかは知らないが」


「僕は先輩に救われたと思ってます。僕も、先輩みたいに誰かを助けたい」


「そうか、じゃあ」


「はい。ここに住みます。これからよろしくお願いします、先輩」

 そう言って、呼道千利は勢いよくお辞儀をした。


 こうして、霊明部の部員が一人増えた。


 彼らはきっと、これから霊的現象に悩む人々を救っていくだろう。

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霊明部! 零下冷 @reikarei

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