第57話 天龍VS飛竜
Guoooooogyaaaaaaaawoooooo
どちらかと言えば修復にも思えるが、4つの眼光はガゼットに向けてギラギラとにらみつける。
GuuuWoooooooooo
滾る怒りを堪えきれずに叫ぶと、
そして、全力で地面へと手を振り下ろし、両手いっぱいに岩を抱えたのであった。
Guwo――Wooooooo
全力で叩きつける岩の雨。
ガゼットは一瞬振り向くが、狙われているガゼット自身はともかく、大量に飛んでいる余波に関してはミレイスターが魔法で守っている。
Guwoooooooo
安心したガゼットはそのままフラフラと岩を躱し続けるが、
相手の様子を確認することなく、2度、3度と振り下ろし、次第には空へ飛んでは絶やすことなく岩を落とし続ける。
「そうだな。ちょうどいい!」
ひらひらと躱し続けていたガゼットだが、ニヤリと笑ってのけると、降り注ぐ岩に飛び移っていく。
Guwoooooooo
一心不乱に投げ続けられる岩は空中でバチバチ当たりながら向きを変えまくるも、それすら予測して、上へと登り続ける。
Guwo?
一心不乱に岩を投げ続けていた
Guuuuu
戦うか迷う
少しでも遠くに行って欲しい思いのこもった岩にあっさりと飛び移ると、そのまま巣の外へと投げ出されていく。
そして――
「こんにちわ~」
GYGYAAAaaaaooooon
穴の空いた巣の周りを囲むように飛んでいたワイバーンに挨拶すると、威勢のいい返事が返ってきた。
空にいるのは
ただの援軍のつもりであったが、なぜか飛べない人間風情が空へといってくれたおかげで、上と下の両ばさみを狙える状態に吠え声を上げる。
Guuuuuoooooooo
チャンスとばかりに
天龍剣で黒炎を封じようとすれば、呼びつけたワイバーンが倒し、もしワイバーンを狙うなら、黒炎で焼き滅ぼすことができる。
Guwooooooo
2つの頭から吐き出した炎が一つに纏まっていき、黒い炎が黒の塊となっていく。
当たれば消し飛ぶ必殺の攻撃――
バスターチャージが使えない空中のガゼットに向けて――黒の
「ちょうど6体!」
下から襲いくる攻撃よりも、ギルド相手に提出する依頼の処理が大事。
すでに4体は処理済み。ゆえに目の前の6体を殺せばあとは
「じゃぁ、死んでくれ!」
ワイバーンたちはあくまで距離を取って隙を探るように飛ぶ。
その距離はバスターソード相手には十分だが、天龍剣相手には近すぎた。
「バスターロード」
ガゼットが振る右腕の振動から、縦横無尽に動いて見せる天龍にも見紛う剣が周りのワイバーンに襲いかかる。
そして、
「よっと!」
飛んでくる必殺の一撃も、当たらなければノーダメージ。
天龍剣を操り、そして、天龍剣に操られて体を動かすと、周りのワイバーンを殺し尽くしながら採血球を起動して、ワイバーン10体分の討伐証明を終えるのであった。
「あいつ――死ぬんじゃない?」
ミレイスターのまともにしてズレた疑問。
襲い来るワイバーンを狩り尽くし、ついでに
――これは、詰みでは?―
――ドラゴニックが普通に距離を取ってるの笑うんだけど
――この程度から落ちて死ぬ? ガゼットが?
「いや、大丈夫だと思うけど」
ランドとミレイスターが現実を直視できない少女を見る目つきでレンナを見るが、逆にこの程度の距離でどうにかなるとは思えないのだから仕方なかった。
崖から飛び降りた時に比べて半分ほどの距離をガゼットは頭から落ちていく。
Guwooooo
しっかり距離を取り、間違ってもクッションにされない位置につくと、ガゼットが落ちる瞬間を狙って
ガゼットについての理解が深いというよりは、本質がワイバーンであるため、人間が空を自由に飛べないことは知っていても、空から落ちれば死ぬといった感覚がない。
だからこそ、落ちた後の事を考えてトドメの準備をしていわけだが、それはすなわち、ガゼットそのものに対する理解度が浅い事を意味した。
Guwoo……?
落下中のガゼットは空中で身を捻ると天龍剣を振るう。
達人の振るう鞭の先端は音の速さを超える――それはガゼットが振るう天龍剣の剣先にしても同じ事。
ましてやそこに落下の速度まで乗れば、人だろうが飛竜だろうが黒竜だろうが、誰も反応できない速度となる。
そして、速さとは力であった。
Gwo?
腹に向けて飛んできた剣先――
着地タイミングが隙であると侮った
Guwo――Guwaaaaaaaaaaaaaaa
遅れた認識がようやく追いつき、断末魔のような叫び声が上がる。
腹の中に入った天龍剣は縦横無尽に動き回るとぼこりと音を立てて、潜り込んだ剣先と一緒に黒い珠が飛び出てきた。
「よっと!」
ガゼットの上側を飛んでいこうとした
「これが、元凶か」
腹に何かがあることには気づいていたが、その原因である
「んー、そうだな」
天龍剣を振り、段々と緑色に戻り始める
そして、空中から落ちてきた巨大ワイバーンの亡骸を右手で掴むと、そのままレンナの元へと向かった。
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