第一章 学園入学編
第1話 入学式の日の朝
物語は基本的に第三者視点で進めていきます。執筆は未熟者ですので、誤字脱字やおかしな点などが見られましたら応援コメントでも良いので、ご報告ください。質問や要望等も受け付けております。
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「ねぇ、本当に大丈夫なの?無理して学園に行かなくても良いのよ」
「大丈夫だよ、
超能力や異能があり、そのための強固な建築物が建ち並ぶ現代では珍しい木造の家。
その家に住む
美希は本当に心配そうな顔をしているのに対し、零無は無表情である。しかし、これは零無が反抗期だからでも、冷酷なわけでもなく、そういった感情がないためである。いや、より正確に言うのであれば、感情が凍結しているといったところか。だからといって、薄情なのかと言われるとそうでもなく、
「零無、もしも貴方のことを悪く言う者が現れたら、我慢せず後で報告しなさい」
「心配性だね。でも本当に大丈夫だよ。これでも一般的な感情表現は出せるし、あの力は封印しているんだ。普通は気付かないよ。それより、義母さんはもう少し寝たら?昨日は徹夜だったんでしょ?」
このように家族を思いやる心を持っている。それに感情が全て凍結しているのかと言われれば、そうでもなく、たった三年未満という短い年月で、普通の感情表現が出せるほどに解凍はされていた。これに関しては担当していた専属主治医も驚き、『最初の頃は一生かけても凍結できるかどうかといった程でしたが、これなら二十歳までには全て解凍できるかもしれませんね』と言わせたほどでもある。
「なら良いけどね。まだあの事件の被害者を迫害するような者もいるわけだし、気をつけて行きなさい」
「分かっているよ。じゃあ、行ってきます」
「えぇ、いってらっしゃい」
何故、こんなにも美希が心配するのかというと、全ては彼女が言った『あの事件』に原因があった。史上最凶最悪最低と世界中から恐れられた
しかし、人間を超えたと言っても、無理やり改造されたわけなので、個人差はあれど、生き残った全員が精神に異常をきたしていた。同じ超人種の中では一番マシなのが零無の『心の凍結』。しかも、零無の凍結は部分的なものではなく、全体的なものなので、犯罪に躊躇が無くなるといったことは起きないため、犯罪性は限りなく低いとされている。ちなみに、『情緒不安定』だったり、『リミッター不全』だったり、『快楽思考』だったりと、犯罪性が高い者もいる。ただし、これらはあまり詳しく公開されておらず、少し前まで超人種全員が犯罪性の高い者たちということで迫害されてきた。
このような経緯があるため、世界では未だ超人種を迫害する国も少なくはない。
「あの計画以降、正確には計画した組織の壊滅から神界は慌ただしくなって、天神様も容易に現界に降りたり神託を下したりできないと聞くし、心配になってくるのよね」
零無の姿が小さくなり、小声で話しても聞こえない距離になったところで美希はそう呟いた。もしも零無が聞いていたら、更に面倒なことになっただろう。言い合いが続き、折角の入学式に遅れてしまう。
天能暦100年 4月10日。今日は国立能力者養成学園の入学式であった。
「『神界が慌ただしくなったのも、それで天神様が降りたりできないのも、全ては超人種のせい。だから、皆一丸となって超人種を殲滅しよう』なんて言ってくる狂信者たちも出てきていることだしね」
いわゆる、過激派・狂信派などと言われる派閥だ。といっても、天神教の派閥にある過激派や狂信派とは異なる派閥である。天神教の過激派は天神様に仇なす者は徹底的に
しかし、美希が話にあげた狂信者は天神教の正規派閥員ではない。どちらかというと、
「さて、仕事に行きましょうか。流石に何日も徹夜していたら零無が兄弟を巻き込んで怒りに来るから今日は何も問題がなければ、早めに上がらせてもらうとは思うけど」
はっきり言ってフラグを立てる言葉だが、それでも何とかできるほどには実力がある。それに、美希は表ではジャーナリストとなっているが、本職は情報局の職員である。何なら、部下や同僚達に仕事を任せて帰ることができるほどには権力がある。実際は、働き過ぎで、公式には存在しない職員でなければ、すぐに有給を強制的に取らせて休ませるほどだ。ちなみに、最低でも2年間分――『2年間溜めた有給』ではない――休みを取れる。
「さて、美咲をそろそろ起こさないと駄目ね。あの子の足であれば余裕で間に合うけど、『
そんな場面を想像して微笑みながら、美希は美咲を起こしに行くのであった。
もちろん言うまでもなく、美希に起こされた美咲は零無がいないことを知って嘆き、『
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(あとがき)
次回の公開は10月8日となります。
なお、10月1日には『皇女殿下の〜』の方を追加公開します。
・皇女殿下の専属執事
https://kakuyomu.jp/works/16817330649847357539
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