第5話 プロローグ② レベル100


「ほんじゃあ、転生するにあたって設定とか色々決めちゃおうか!」

「ちょっと待ってくれ、まだ心の準備が……」

「この期に及んで何言ってるんだか、早く決めないと君本当に消えちゃうよ」


 そう言われて足の方をみると、さっきはつま先くらいまでしか消えてなかったなに、今はもう膝くらいの高さまで消えかけていた。


「や、やばい早すぎる」

「ささ、消える前にとっとと決めちゃおう!」


 うーん、ここは流されていいのだろうか……。

 ま、消えるよりはマシだろうしここは転生してみるか。


「わかった転生するよ」

「お、覚悟が決まったみたいだね」

「まぁ覚悟っていうか消えるよりはマシだからって感じだけどな」

「はは、なんか面白い理由だねー!」

「面白いか?」


 そう言って女子高生みたいな神様はケタケタ笑った。


「さてと本題だけど、君がこれから転生する世界はね、レベルって概念があるんだよね」

「レベル?」

「うん!1からマックス100までレベルがあってね、そのレベルによってその人の筋力とか知力が決まるんだ!」

「なるほどな、じゃあ俺はレベル1からスタートする感じなのか?」

「それも面白いんだけど、せっかくならレベル100の状態で転生してみない?」

「え、そんなことできるのか?」

「うん!できるよ」



 おいおい開幕からレベル100ってのはやりすぎだろ。

 つか転生ってことは俺、また赤ちゃんからやり直すってことなのか?


「いや赤ちゃんじゃなくて、今の君の年齢で転生するよ!」

「え、ああそうなんだ」

「あ、ごめんねまた心の声聞いちゃって」

「いや別にいい、ていうか安心したわ」


 助かった、流石に赤ちゃんからやり直すのは疲れそうだし。

 まぁでもそれもありなのか。


「でどうする、レベルは100で転生する?」

「まぁ強いに越したことはないし、100にしてもらおうかな」

「はーい了解!」

「なんか色々凄いな」

「まぁ神様ですから、あと固有スキルも基本1人ひとつまでだけど拓真には10個くらい付けとくね」

「わかった」


 固有スキル?なんだかまた新しい単語が出てきたな。

 でもいちいち考えるのも疲れたし、もうなんでも付けてもらおう。


「うんうん、これならだいぶ強いはずだから安心して転生ライフを満喫してね」

「あ、ありがとう」


 女子高生神様は笑顔でそう言った。

 しかしなんでこの神様は俺にここまでしてれるんだ?

 何か裏とかありそうで怖いんだが。


「確かにいきなり出てきた私がこんなに色々してくれると怪しいよね」

「え、まぁそうだな」

「まぁでも第二の人生が歩めるのってなかなかないし、ここは一つ神に騙されたと思って転生してみてよ」

「え、騙してるのか?」

「ふふっどうでしょうね、ま、とりあえず一旦さよなら」

「おいさよならって……うわっなんだこれ」


 神様がさよならと言うと床に大きな穴が出現した。

 

「まぁまた私には会えると思うからそれまで、色々大変だろうけど頑張ってね」

「また会えるってどういうこと」

「ふふっじゃあね、タクマ」


 そうして俺は床にできた大穴に吸い込まれた。

 穴には底がなくずっと落ちていきそうな感覚になった。

 一体これからどうなるんだ、やっぱり夢でしたとかそんなオチか?

 いやでも妙にリアルさはあった、ダメだ考えるのはやめよう。

 とりあえずまたあの神様に会えるまで俺は生きる。

 生きて色々聞こう。

 つかこれどこまで落ちるんだ?

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