第4話 プロローグ① 女子高生の神様
「いやぁ不幸不幸」
「うっ、な、なんだここは」
「ここは天国というかあの世だよ」
「あの世?」
目が覚めるとそこは家ではなく、暗い部屋の中にいた。
目の前には見た目的に高校生?くらいの女の子が椅子に座っていた。
「たしか名前は高嶺拓真くんだっけ?」
「あ、ああそうだけど」
「君の今までの人生を簡単に見てみたけどさ、君、引くほど不幸だよね」
「うっ」
そう言って女子高生(仮)はニタァっと笑った。
確かに不幸という言葉は俺の今までの人生の中で聴き馴染みしかない言葉ではあるが、初対面のましては年下に嘲笑されながら言われるのは癪ではある。
「なになに、5歳の時に親が離婚して父親に引き取られるがその2年後に父親が事故で他界、母親は一緒に住むことを拒否して祖父母の家に行くと、そこからは高校まで普通に暮らすがそこで祖母が悪徳宗教に騙されて多額の借金をして祖父母共に自殺、そしてその借金を君が肩代わりするって……やばいね」
「まぁやばいのはやばいが、つかなんで知ってるんだよ俺はあんたに一度も会った事ないし話してもないんだぞ」
楽しげに話す女子高生に俺はついキツめに当たってしまった。
今年22歳ながら女子高生に本気の怒りをぶつけるとは恥ずかしい。
しかし、あっちもあっちで悪いところはあるしここは五分五分なのでは?
「ごめんごめん、いやいやこんな不幸な人生なかなかお目にかかれないからついテンションが上がってしまってね」
「そ、そうかよ」
突っ込むのがだいぶ遅れたかもだが、そもそもこいつは誰なんだ?
「さっき何故知ってるんだって聞いたけどその理由は簡単私が神様だからだよ」
「神様?」
「うん、基本的に生と死を司ってはいるけど自分で言うのもあれだけどあんまし仕事しないんだよね」
そう言って女子高生はニヤリと笑った。
神様?なんだよそれ。
女子高生が神様とか聞いたことないぞ。
「ふざけるな神様が女子高生なわけないだろ」
「え?ああこの姿は好きでやってるだけで別におっさんの姿にもめっちゃスタイルのいい美人にも変われるよ」
「そうなのか?」
「うん、ていうかさそろそろ本題に入るね」
「本題?」
「そ!君さ転生とかしてみない?」
「転生?」
転生ってあれだよな、死んだ人が別の人に生まれ変わるとかそういうあれだよな。
変だなでも俺死んでないぞ。
「いやいや君死んでるよ」
「は?」
「ごめんごめん今さ、君の心の声が少しだけ聞こえてさ」
「いやそうじゃなくて、死んでるってどう言うことだよ」
「え、覚えてないの?君は昨夜、金の取り立てに来た怖いお兄さんと揉めて殺されたんだよ」
殺された?何言ってんだこいつ。
そんなわけないだろ、殺されたならなんでまだ意識があるんだよ。
それに身体だって。
そう思い自分の体を見てみると、足の方が消えかかっているのが見えた。
「な、なんだよこれ」
「あちゃあ、もう時間があまり残されてないねぇ、でどうする転生しちゃう?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ事態が飲み込めてなくて俺は本当に死んだのか?」
「うん死んだよ」
やばい頭が追いつかない。
まだやりたい事も叶えたい夢だってあったんだ、それが全部なしになったのか。
「嘘だろ……」
「まぁでもさ、そんなに落ち込むことないよ君は不幸だけど、最終的に私に会えたんだしそこは幸運だったと思うよ」
「どういうことだよ」
「だからさクソみたいな前世なんて忘れて、私が最強にしてあげるから異世界で暴れておいでよ」
「異世界?」
「そう!これから君は異世界転生するんだよ」
異世界転生?なんだよそれ。
つか死んだのにお前、冷たすぎるだろ。
もっと暖かい言葉とかくれよな。
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