和音の鬱憤妄想日記⑤

 風呂上がりの私は足早に部屋へと戻りドアの鍵を閉めたか何度か確認して、安心してから、机の前に座って日記を開きました。


 私のパンチラであんなに兄さんがドキドキしてくれるなんて、なんていい日なんでしょう。


 私はその嬉しさをかき込んでいきます。


 それに何よりもあんな失敗したご飯を食べてくれたことが、私は嬉しくて仕方ありません。


 でも……。すぐに七緒に頼るのはどうなのよ!! 確かに料理は上手だけど、兄さんの胃袋がガッチリつかまれているような。


 これは負けてはいられません。もっと、料理を覚えないと。


 たまったものを吐き出すように私は、ペンタブを手に漫画を描き始めます。


 一時間ほどして、描きあがった漫画を確認しているとスマホが震えました。


 会長からの着信です。


「はい、もしもし」


「どうも今晩は、パンチラはどうだったかしら?」


 今日披露したポーズもメイド服も会長の提案だった。


「確かに、会長の言う通りの反応でした。特に座ったポーズの反応がよかったです」


 私はあの時の兄さんの顔を思い出して、ニヤニヤしてしまいながらも声には出さないように気をつけます。


「そう、次の話に使おうかしら……。和音も少しは勉強になったかしら?」


「はい、勉強になりました。ありがとうございます」


 会長は少し笑った声を出して――


「言葉よりも例の物が欲しいわ」


 と楽しそうに言ってきた。


「本気だったんですね」


「そりゃぁそうよ。お兄さんだけ楽しむなんて、許せないわ」


「何か誤解を生みそうな言いかたですが、約束ですからね……」


 パンチラの大切さを教えてもらう代わりに、メイド服姿の写真をあげる約束をしていたのだ。


「あ、たくし上げのポーズでお願いね?」


「……分かりました。後で送ります」


「ふふ、楽しみにしておくわ。じゃ、おやすみなさい」


「はい、おやすみなさい」


 電話を切って、私はメイド服を着直します。


 言われたポーズをして、自撮りをしてみます。


 中々に難しく、恥ずかしかった。


 その写真を見て、やっぱり恥ずかしかったので顔だけはスタンプで隠します。


 次の日、それを見た会長に「殺す気かしら?」と興奮気味に何故か言われました。

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