和音の鬱憤妄想日記④

 パンチラて何でしょう。


 ベットに寝転んで考える。


 貸してくれた漫画を見返しましたが、あまり載っていません。


「兄さんは気を使って、そういうのが少ないのを貸してくれたんだろうな……」


 そう声を漏らしたところで、枕もとのスマホが震えた。


会長だ……どうしたんだろう?


 着信の画面に表示された文字を確認して、スマホを耳に当てる。


「良かった。まだ起きていたわね」


 そう言われて机の上の置時計を確認すると、時計の針が二十三時を指していた。


「少し考え事をしてたので、それで要件は何ですか?」


「相変わらず真面目ね。もう少し会話を楽しみましょうよ?」


 会長はため息を漏らして、そう提案してくる。


「必要性を感じません」


「きっぱりね。まぁ、いいわ。じゃぁ用件を言うわ、今はいてるパンツは何色かしら?」


 その言葉を聞いて、すぐに電話を切った。


 まぁ、私が知っている会長はこういう人なんだけど……。


 すぐにスマホが鳴る。


「はい」


「ごめんなさい、和音。スマホの調子が悪いのか、切れてしまったわ」


「いえ、私が切りましたので。つぎにふざけたら着信拒否にしますね」


 淡々と言ってのける会長にくぎを刺す。


「ふざけてなんかいないわ。何なら、カメラ通話で見せてほしいくらいよ」


「では、切りますね? おやすみなさい」


「まって、欲張りすぎたわ。相談があるのよ」


 耳を放して切ろうとしたところで、慌てた声が聞こえてくる。


「何ですか?」


 ため息をつきながら、スマホを耳に当て直す。


「漫画の事で相談があるのよ……」


「珍しいですね? 変態の会長が悩むなんて」


 このふざけたようなことを言う会長こそが、私にイラストや漫画の描き方を教えてくれた先生なのだ。


 そして小説を書きながら、漫画の連載もしているらしい。


「私だって悩むこともあるわ、侵害ね」


「すみません」


 言い過ぎたかと思って、素直に謝る。


「だったら、お詫びにパンツを見せなさい」


「どうしてさっきから、パンツにこだわっているんですか?」


 呆れた声で仕方なく相手をすることにした。


 やっぱり会長に謝る必要はないように思う。


「新キャラにどんなパンツをはかすかを、悩んでいたのよ」


 とてもくだらないことで悩んでいたみたい。


「そんなの、何でもいいんじゃないんですか?」


「それは違うわよ。これは師匠として、レクチャーをさせてもらうわ」


 私の言葉にムッとした声で、そう言ってきた。


「レクチャーですか?」


 電話で何をするのかと不安になってくる。


「和音、貴女も漫画を描き始めたなら覚えておきなさい。パンツはとても大切なのよ」


「そうなんですか? 今日、兄さんも編集の方も言ってましたが理解できないんです」


「なら、宿題を課すわ。明日生徒会室に来なさい、服を貸してあげる」


「あ、会長の相談なんですが……」


 何かすごく嫌な予感がするので、話を戻そうと試みた。


「それはもういいわ。明日、解決するはずだから。それじゃ、おやすみなさい」


 言いたいことを言って、会長は電話を切ってしまう。


 嫌な予感しかしないが、明日に備えて私は眠ることにした。



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