ハッピーおじさん~不幸のどん底に落ちた男、幸運値が限界突破し、姪っ子の配信でバズるも、気づかないまま規格外ダンジョンを食糧庫代わりにして最強を超える召喚獣や従魔達とスローライフ~
第027話 ドッキリを仕掛けた方がドッキリ(亜理紗視点)
第027話 ドッキリを仕掛けた方がドッキリ(亜理紗視点)
◆亜理紗視点
「(はーい!! 皆さん、こんにちは!! リサチャンネルへようこそ!!)」
宙に浮くドローンカメラに顔を近づけて小声で語り掛ける。早朝にもかかわらず、私はとある場所にやってきて配信を始めていた。
"待ってました!!"
"アップのアリサちゃん可愛い"
"化粧してなさそうなのに可愛すぎない?"
"シミ一つないんだけど"
"これが若さか……"
うふふっ。皆私の可愛らしさに骨の抜きみたいね。でもダメ。私はおじさん一筋なんだから!!
「(こんな時間からの配信を見に来てくれてありがとう。新しい家族を紹介するね。シャイニングミーのカシワモチだよ!!)」
カメラに頭の上を映した。カシワモチがプルルと体を震わせる。
"あ、カシワモチ"
"マジでシャイニングミーだ"
"すげぇ……"
"こうしてみると可愛いな"
"ふよふよしてる姿がなんとも言えない癒し"
カシワモチもおおむね皆に受け入れられていた。
うんうん、そうだよね。マヒルちゃんやヨルちゃんも可愛いけど、ワラビモチとカシワモチも全然負けてない。
閲覧者たちはシャイニングミーをリアルタイムで見るのは初めて。
動画のコメントの中には色を塗っているとか、光の加減でメタルグミーがシャイニングミーに見えるだけだという人たちがいたけど、今回は実物を見せることで払拭できるんじゃないかな。
「さて、カシワモチの紹介が終わったところで、私は今どこにいるでしょうか?」
本題に入るために、私はカメラから離れて他の場所が見えるようにした。
"マンション?"
"誰かの家の前ってこと?"
"そうかも"
"それって、もしかしてハピおじ?"
"え、マジ!?"
"あり得る"
予想通り皆すぐに気づいたみたい。
「(はい、お分かりの方も多いですね。答えはおじさんの自宅でした!!)」
私は小声で体全体を使ってババーンとドアを示した。
そう、私はやって来たのは叔父さんが新しく住み始めた家だ。
"おいおい、リサちゃん、流石にそれはマズいんでは?"
"そうだよ。不法侵入で捕まっちゃうよ!!"
”犯罪はいかんぞ、犯罪は”
"親しき中にも礼儀ありだぞ"
閲覧者は私が勝手に入ろうとしていると思っているけど、実はそうじゃない。
「(ふっふっふっ。それは安心して。おじさんからいつでも来てもいいと言質も取ってる。それに、ちゃんと合いカギまで貰っているんだから)」
『亜理紗ならいつだって来てもいいぞ。これカギな』
皆に説明してから鍵をちらつかせておじさんの録音データを流す。
"用意周到だった"
"アリサちゃんに迂闊なこと言えねぇ"
"ハピおじ、逃げてぇ"
"一人暮らしの男にも色々あるんだよ?"
"そうそう、ベッドの下とか"
"女の子を迎えるのには準備が必要なんだぞ"
叔父さんはそれなりに掃除をする人だから大丈夫でしょ。それに叔父さんの好みなら私も気になるし、後でチェックしなきゃ!!
「(今日行くって連絡してるから問題なし。それじゃあ、おじさんに寝起きドッキリを仕掛けたいと思います!!)」
私はドアを開けて叔父さんの家の中にお邪魔した。
"ああああああああっ"
"ガチドッキリとか公開処刑だな"
"ハピおじの知られざる姿が今明かされる"
"マヒルとヨルたんたちはどこに居るのかなぁ"
"ワラビモチも忘れるな"
閲覧者たちは早朝にもかかわらず、テンションが上がってきている。
「(片付いている家だね。引っ越したばかりだから当然だけど。でも、おじさんは昔から家事が得意で、いつも綺麗にしてるんだよ)」
玄関と通り抜け、二十畳以上ありそうなリビングには、最新の家電や高そうな家具が取り揃えられていた。
"プレイヤーってこんないい家住んでんの?"
"そうだな"
"くぅ~っ!! なんで俺はFIOをやってなかったんだ……"
"ほんとそれ(涙)"
「(それじゃあ、寝室に潜入していくね)」
私は寝室のドアに手をかけてカメラに向かって宣言する。
"ハピおじの寝顔が見れる!!"
"wktk"
"渋いおじさんの寝顔よき"
"ハピおじガチ勢めっちゃいるじゃん"
「(おはようございまーす)」
起こさないようにゆっくりと扉を開けて忍び足で室内に足を踏み入れる。
中には大きなベッドが一つ真ん中に置いてあって、こんもりと布団が盛り上がっていて、規則正しく上下していた。
私はベッドの方に近づいていく。
「きゃっ――」
足許にグニィという滅茶苦茶柔らかい感触があって思わず叫びそうになったけど、私は口を両手で押さえてなんとか堪えた。
「(ワラビモチィイイイイイ!!)」
私は驚かされた腹いせに、しゃがんでワラビモチをぐにぐにして八つ当たりをする。
"まさかのワラビモチトラップ"
"これもハピおじのハッピーパワーだ"
"滅茶苦茶素の顔出ちゃってたもんな"
"間抜けな顔も可愛いけどな"
「(ごめんね、ちょっと退いててね)」
私はワラビモチに謝って少し場所を移動させると、徐々におじさんの頭が見えてきた。
「え?」
しかし、おじさんの顔が完全に視界に入る位置までやってくると、そこには信じられない光景が広がっている。
"え、幼女!?"
"ハピおじ、幼女に手を出しちゃったの!?"
"自首して、ハピおじ"
"アリサちゃん、気強く持って!!"
"ハピおじ逮捕かぁ"
リスナーたちが言っているように、叔父さんの両隣には、二人の幼女がスヤスヤと眠っていた。
まさか叔父さんて幼女が好きだったの!? だから私のことに見向きもしなかったってこと!?
「起きなさーい!!」
私は事の真相を聞き出すために、配信を切って叔父さんの耳元で大声で叫んだ。
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