ハッピーおじさん~不幸のどん底に落ちた男、幸運値が限界突破し、姪っ子の配信でバズるも、気づかないまま規格外ダンジョンを食糧庫代わりにして最強を超える召喚獣や従魔達とスローライフ~
第014話 ランダムさんなら一家で夜逃げしたよ
第014話 ランダムさんなら一家で夜逃げしたよ
「キュンッ」
「キュウンッ」
辺りに見えるメタルグミーを全て倒した俺たちはドロップアイテムを回収している。マヒルとヨルが楽しそうに俺のところに咥えて持ってくる姿にはとても癒される。
「うわぁ……レベルが五も上がっちゃってる……最近は中々上がらなくなってきていたのに」
亜理紗はステータスウィンドウを見ながら、見たくもないようなものでも見るような表情を浮かべる。
レベルが上がるのはいいことじゃないのか?
「俺も十も上がったぞ」
メタルグミーを沢山倒した結果、沢山貰えるという経験値により、俺と亜理紗のレベル上がった。召喚獣にもステータスがあり、マヒルとヨルのレベルは十三上がっている。
「ボ、ボーナスポイントが三十!? これって全部最高値の六だったってこと!? 信じらんない……」
亜理紗はステータスのポイントの部分を見て愕然としている。
ランダムで貰えるはずのポイントが全部最高値だったみたいだな。良いことだ。
「おめでとう。もっと喜んだらいいじゃないか」
「そうだけど、ここまで運が良いと不安になるの!!」
「それもそうか」
良いことが起こると、不幸の前触れじゃないかって思うもんな。
「いや、これってまさか……」
「どうしたんだ?」
「おじさん、もう少し手伝って!!」
何か思いついたような顔の亜理紗に声を掛けたら、彼女は走り出してしまった。
「待ってくれ、行くぞ、マヒル、ヨル」
「「キュンッ」」
俺もマヒルたちを連れて、亜理紗を追ってさらに奥地へとの踏み込んでいく。
「一旦、パーティから抜けるね」
「お、おう」
『リサがパーティから脱退しました』
メタルグミーを見つけた亜理紗は、一旦パーティから抜けて戦い始めた。よく分からないけど、俺たちはメタルグミーが逃げ出さないように手伝った。
「ふぅ……やっぱりクリティカルヒットがないと倒すのが大変だね。ボーナスポイントは四」
しばらく戦った後、亜理紗はステータス画面と腕を組んでにらめっこをしている。
「まだか?」
「もうちょっと」
再び亜理紗はメタルグミーと戦い出した。
「今回は三ポイント。可能性は濃厚だね」
戦い終えた亜理紗はステータス画面を眺めて納得顔で呟く。
「どういうことだ?」
「おじさんといると皆がハッピーになれるってことだよ」
「そうか」
よく分からないけど、彼女が嬉しそうなことが分かった。
それだけ分かればいい。
「うん、私の輝かしい未来は確定したようなものだね!!」
亜理紗は俺に満開の花のような笑顔を咲かせた。
「適当なこと言うんじゃない」
「あははははっ!! おじさんは自分の価値を分かって無すぎだよぉ」
肩を竦める俺の背中をバシバシと叩いて励ましてくれる亜理紗。
「そんなの俺が一番分かってるっての」
そうだ。自分の価値なんて自分が一番理解している。
俺は真っ先に会社をクビにされ、彼女に浮気されて振られるようなダメ人間。俺に亜理紗が言うような価値なんてない。
全く亜理紗の奴、俺に気を遣い過ぎだっての。姪に気を遣わせてしまうなんて、俺はもう少し頼れる大人にならないとな。
「お待ちかねのドロップアイテムのお披露目しよ」
「そうだな」
数えたところ、魔石、インゴット、身代わり人形がそれぞれ四十二個ずつ手に入った。
「じゃあ、全部半々でいいか?」
「え、いや、そんなわけにいかないよ。おじさんのお陰でこんなに一杯アイテムが拾えたんだから、おじさんが九、私が一くらいでいいよ」
「いやいや、何を言ってるんだ。そんなのは駄目だ。俺のおかげなんかじゃない。皆で一緒に闘った結果だ。半々だ。分かったな?」
遠慮しようとする亜理紗の頭に手を置いて諭すように話す。
彼女には色々教えてもらったし、きちんと報酬は受け取ってもらわないと困る。
それに、身代わり人形は二十一個も持っていれば、ピンチに陥ったとしてもしばらくどうにかなるだろう。それに、無くなったら、またここに取りに来ればいい。
「ふぁーい」
亜理紗は俺の言葉を聞き入れて頷いた。
なんだか熱に浮かされたような顔をしているような気がするけど気のせいだろう。
「よし、いい子だ」
「も、もう。そろそろ帰ろうよ」
俺が亜理紗の頭をポンポンと撫でると、彼女はハッと我に返った顔になり、来た道を引き返していく。
「ん? あれはなんだ?」
俺は振り返る瞬間、視界に違和感を感じた。
「え、どれ?」
「なんか、あのグミー、メタルグミーとも色が違わないか?」
亜理紗も立ち止まって俺が指さした方を見る。
「あ、あれは、シャイニングミー!!」
「シャイニングミー?」
俺はまた聞いたことのない名前が出てきて首を捻った。
「そう。メタルグミーよりもさらにレアで、百万匹に一体しか現れないって言われてるの。ゲーム時代も戦ったことがある人はほとんどいないはずだよ。ゲーム中最高の防御力を持っていて、回復魔法で回復もする。最強のグミーって言われてるの。倒したって話も聞かないんだよね」
「おお、それは凄いな」
かなり強そうなモンスターだ。
「どうする? 戦ってみる?」
「亜理紗はどうしたいんだ?」
俺としては正直どっちでもいい。
レアだかなんだか知らないが、すでに今日教わることは教わったと思うし、時間もいい頃合いだ。
「うーん、戦ってみたいとは思うけど、倒せなさそうだしなぁ」
「幸い身代わり人形も沢山ある。面白そうだし、挑戦してみないか?」
亜理紗も迷っているようだ。
でもなんとなく戦いたそうな顔をしているので、背中を押してやる。
「それもそうだね。やってみようかな」
「よし、行くぞ」
「おおー!!」
再び亜理紗をパーティに入れ、俺たちはシャイニングミーに挑む。
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