第58話 クロードの(素敵な男性になるための)特訓開始
それで、クロードさんの能力制限の方式なんですが、アイテム方式にします?それとも魔力方式?それとも魔紋方式?」
「魔紋方式は解除するたびにもう一度全身に魔術紋様を彫り込まないとならないから、魔力方式の方が良いと思うけど、それとは別にアイテムでも制限を掛けましょう!」
「アルテナ姉さま、その心は?」
「アイテムがバァン!って弾け飛んで、リミッターが外れた途端に闘気とか魔力が身体からブワァと溢れ出すのって何だがカッコよくない?」
「「「おお~~~~~!」」」
「通ですね。お姉さま!!」
「あの~、僕で遊ぶの止めてもらえません?」
「何を言ってるの?クロード君。相手の度肝を抜くのも戦術の一つよ!」
胸の前で両手を握り締めて力説するアルテナさん。
絶対に違うと思う。
特訓を始めて一週間。
今は自分自身に魔力による負荷を全身にかけ、普人種としては基礎レベルに換算して150レベル前後にまで落としている。
そして毎日、魔法に剣術、体術、ご飯作りに、洗濯、ヘアメイクにお肌の手入れ方法、女性の口説き方、服飾に宝飾などなど一部関係ないと思われることまで指導されている。
あれ?僕が想像してた特訓とかなり違うような……。
そんな中で意外だったのが、アルテナさん、ルーナさん、ウリエルの三人とも料理や洗濯が壊滅的だったことだろう。
レシピ通りに作って、謎の料理が出来上がるのには吃驚したものだ。
洗濯にしても、洗った衣服がボロボロになるという始末。
どうやらこの三姉妹、こんなことにならなければ良いところのお嬢様だったらしく、料理も洗濯も家の料理人や侍女たちがやってくれていたという。
その繋がりで、下着類も一般の人が着用する麻や綿では肌触りが苦手らしい。
だからシルクの下着類が欲しいらしいんだが、購入するとなると高額になるので、僕が作ることになった。
というのも、市販されているものに比べ、jobレベルMAXである僕が作る方が付け心地が良いらしい。
一度シルフィーが試しにと僕が作った試作品を着けてみたところ、それ以降シルフィーの下着類も僕が作ることになってしまった。
「ところで、アルテナ姉さま、ルーナ姉さま、シルフィーさん、私も含めてですけど、避妊魔法どうします?」
「「「えっ?」」」
えっ!?て、なぜそんなに驚くんですか?姉様方……。
しかもシルフィーさんはなぜそんな絶望したような表情まで浮かべてるんですか!?
「ク、クロードさんの能力を制限する前に直接施してもらわないと、雰囲気に流されてとか、クロードさんが野獣になったとか、逆に私たちが我慢できなくって襲っちゃったりとかしてクロードさんと関係もっちゃったら私達、確実に妊娠しちゃいますよ?クロードさんのステイタス的には制限かかりますけど、基礎レベルにまでは制限はかかりませんからね」
「「「あっ!?」」」
アルテナ姉さまたちの反応を見て、私は頭を抱えたくなった。
「もう完全に忘れてましたね、お姉さま方……。あの糞爺と戦うことを決意したんですから、決着がつくまで妊娠してる暇なんてないんですよ。それに私たちが生きていたことを知ったあの糞爺は、また私達を襲うことも考えられます。もう私はクロードさんというご主人様がいるのに彼奴に体を許す気はありませんからね。攻撃的な貞操魔法でも施してもらいたいぐらいです。お姉さま方はどうなんですか?」
「「「はい、ウリエルの言う通りです」」」
「ということで、クロードさん、後でお願いしますね。あっ!良いこと思いつきました。クロードさん、リリアさんにもシルクの下着類を作って送りましょう!」
「ぶっ、な、なんで」
「リリアさんにお前の身体のサイズのことなら何でも知ってるんだぞって、痛っ」
「そういう冗談はいいから……」
クロードがウリエルの頭に手刀を落とす。
「痛いですよ、クロードさん。本当のことを言いますとリリアさんがあの糞爺に狙われる可能性が高い以上、リリアさんにも高レベルの避妊魔法を掛けておいた方が良いと思ったのと、貞操防御魔法か貞操防御用魔紋をリリアさんの身体に施しておいた方が良いと思ったからなんです」
「貞操防御魔法?貞操防御用魔紋?」
「はい、貞操防御魔法というのは、衣服や下着類に仕込んでおく魔法の一種で、リリアさんに襲い掛かって衣服やら下着類に触れようものなら、相手を吹き飛ばす爆裂系魔法とか、相手を感電死させる高位雷撃魔法とかですね。あと貞操防御用魔紋になると男性の象徴をチョキンと切り落としてしまう守護霊獣召喚の魔紋とか、他にも色々とありますよ。ただ、貞操防御用魔紋の場合、リリアさんには直接会うことが出来ませんから、送る下着類や宝飾品に紛れ込ませて仕込んでおいて、それらをリリアさんが身に着けた段階で、リリアさんの身体に転写する形になっちゃうんですけど……、一つ問題が……。確実に身に着けてもらわないと転写が上手くいかず、効果を発揮できないんですよ。だからクロードさんの名前で送ったらどうかと……」
「それだったら、シルフィーの名前で送ってもいいんじゃないか?」
「確実性に疑問が残ります」
「そうかな?」
「クロードさんは分かってませんねぇ。大好きな、愛している人に作ってもらった高級シルクの下着に包まれる幸福感!
身に着けていないのではないかと錯覚するほどのフィット感に時として下着を着けずに全裸で歩いているのかもしれないと錯覚して羞恥に包まれてしまうほどの背徳感!
そして、時折感じる締め付けるような感触は、自分があの人のものだという安心感に繋がるのです!
どうですか!クロードさんにはこの熱くそれでいて、ほの暗い思いを理解できますか!」
「わ、わかったから僕の名前で送るから、落ち着こうな」
良し!クロードさんが私の策略に落ちた。
これで、私がクロードさんが作った下着類を身に着けていると、そんなこと思ってるんだなどと想像するに違いない。
これで、姉さまたちより一歩リード間違いなしよ。
「ああ、あとですね。いま私たち姉妹には多重断層結界が施されてますよね?」
「ああ」
「それを別のものに変えられませんか?」
「え?」
「多重断層結界も凄いものですけど、逆に言えばクロードさんが作った多重断層結界の装飾品を身に着けた人同士には感知できますけど、他の人に私たちの存在は感知できませんよね?でも、あの糞爺と戦うと決めた以上はクロードさん以外の他の人にも存在が分かるようになっておく必要があると思うんです。理想はあの糞爺に私たちが生きていることを気づかれることなく、それでいて自由に行動できるようにするってことですけど、どうですか?」
「う~ん、簡単に考えるなら神族のままだけど、周りからは普人族として認識されるってことだろう?しかも同じ神族である創造神さえも普人族と認識させるかぁ。時間は掛かるかもしれないが、出来るかもしれないな。錬金スキル上では可能だってでてる」
「じゃあ、それをお願いします。まず最初はリリアさんの下着類の作成からですね」
リリアが禊を行っている領都の教会にクロードからリリア宛の荷物が届いたのはそれから一月後のことだった。
その晩、さっそく届いたクロードからの荷物をウキウキしながら開けたリリアだったが、まさか荷物の中身がシルクの下着類(かなりのセクシー系)や宝飾類だとは思わなかったリリアは顔を真っ赤にして教会中に響き渡る声で思わず叫んでしまった。
「何考えてるのよぉ~~~~~、クロードのばかぁ~~~~~」
その後、教会中のシスターたちが慌ててリリアの部屋に押しかけ、リリアを心配したのだが、顔を真っ赤にしたリリアと送られてきた下着類や宝飾類を見てニヤニヤが止まらなかった。
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