夢から目覚めたら
こむぎ
第1話
藍梨(ああ、また長くつらい夢が始まる・・・)
腕の痛みとともにため息をつく
藍梨(私の夢は独特だ、何も見えないし音も無い・・・あるのは腕の痛みだけ 早く夢から目が覚めないかなー)
逆
母親「いつになったら治るんですか?」
カルテを見ながら一呼吸おき先生が答える
先生「なぜこの状態になったか原因が分からないので・・・治す方法もわかりません」
父親「今の状態はどうなんですか?」
先生「入院当初からかわりはないのですが・・・娘さんは起きている時、視覚 聴覚 嗅覚 が感じられていません。ですが寝ている際はその逆で通常に働いています」
母親「なんで・・なんで、藍梨が・・・」
先生「睡眠関連摂食障害に似た現象があり、寝ていると思われる時に食事をしています。完全に感覚が無くなったわけでは無いので、回復の余地はあると言えます」
夢の中
藍梨「今日は何食べようかな〜」
街の中を歩きながら悩んでいると男性を見つけた
藍梨「あれ?あの人誰だっけ」
頭を抱えて悩んでると頭の中に声が聞こえてくる
『旅行楽しみだね』
藍梨「夢に戻りたくない!」
夢か現実か
藍梨(腕が痛い・・・)
(なにか大事なことを忘れてる気がする・・・旅行・・・)
何を忘れているか悩んでいると一人の名前を思い出す
(まさ・・・まさき・・・)
藍梨「真崎!」
その言葉とともに大声で泣き始めた
半年前・・・
藍梨「真崎ー旅行一緒に行けるよう有給取ってくれてありがとー」
ニコニコしながら通話相手の真崎にお礼を言う
真崎「有給余ってたから大丈夫だよ。藍梨こそ予定組んでくれてありがとう」
藍梨「場所違うのに途中から同じ夜行バスになるとはね~」
お互いケラケラ笑いながら話してると藍梨のスマホにバッテリー5%に下がったときの音がする
藍梨「5%だから一旦切るね」
真崎「はーい」
電話を切った後、藍梨のスマホが自動的に電源が落ちる
藍梨「電話のし過ぎかな~・・すぐ電源落ちちゃう」
駅内放送「本日は豪雨のため運転見合わせとなります。誠に申し訳ございませんが・・・・」
待合スペースの窓から外を見る
藍梨「えーこんなに降ってたのー?真崎に・・ああ充電切れだった」
公衆電話で自宅に電話して迎えに来てもらうことにした
二時間後・・・
母親「急に台風が進路変更しちゃったね」
車に付けている充電器で充電しながら話す
藍梨「だねー・・・電源ついた」
スマホの起動中に母親が車のラジオをつける
ラジオニュース「・・・時発・・・行きの夜行バスが横転し・・・」
藍梨「え・・・真崎の乗ってるのだ・・・」
母親「車止めるわよ」
車を止めラジオの音量を大きくする
ラジオニュース「・・・まさきさん、五名が意識不明で緊急搬送されたとのことです。新しい情報が入り次第お知らせします・・・」
藍梨「真崎・・・」
スマホで真崎に電話をかけてもなかなか繋がらない
藍梨(真崎!!早く連絡して!!)
翌朝
母親「ちゃんと寝なきゃ真崎くん泣くよ」
大あくびしながらリビングに来る藍梨に言う
藍梨「だって連絡来ないもん」
スマホを机に置くと父親が画面をちらっと見る
藍梨「見ないでー」
少しふざけながら言うと
父親「そのスマホモバイルデータ通信もWi-Fiも繋がってないね」
藍梨「え・・・ホントだ・・・」
あーーと言いながらスマホを振っていると
ニュース「昨晩の事故で五名の負傷者が出たと報道しましたが、五名とも息を引き取ったと連絡がありました・・・」
再会
事故のことを思い出し、どちらが夢かわかった藍梨
藍梨「真崎が・・・・いやーーーー」
叫びながらよろけながら病室を飛び出した
藍梨「真崎が・・真崎・・・」
待合室につくとニュースの声がする
藍梨「ニュースなんて見たくない!聞きたくない!」
近くにあった鉛筆で自分の目を刺そうとしたその瞬間
真崎「藍梨!」
聞き覚えのある声が聞こえて、その方向を見ると
藍梨「真崎・・・?」
母親「へーお互い連絡取れないし ニュースの名前ちゃんと見ずに勘違いしてたんだね」
藍梨「教えてくれたら良かったのにー」
むくれた顔で言う
母親「だって、勘違いしてすぐ気絶してあのままだったから言う事も出来なかったのよ」
父親「でも、よくここがわかったね真崎くん」
優しい笑顔で真崎にお礼も言う
真崎「愛梨さんの家の近くにある病院全部回ってたらたどり着いただけです」
照れながら答えてると
藍梨「あ!仕事は?」
真崎「一時的にテレワークにしてもらってるよ」「それより見つかって本当に良かった」
唇を噛み締めながら涙を流す
父親「よし!退院出来たらデートだな!Wデートでもしますか!」
にこやかな顔で泣いている二人を撫でながら言う
藍梨「うん!!」
夢から目覚めたら こむぎ @komugi_syousetu
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