アンデッド 18 番外編 その後のジャック
昨日はやりすぎてしまった
そう自覚はしているが、久しぶりに会った友人を彼女にも合わせたかった
メアリーと最後に会ったのはもう何年前の話だろうか
とにかく彼女も僕もメアリーと会うのは久しぶりだ
そんなメアリーに僕だけが会ったと知ったら彼女は怒るだろう?
きっといじけて一年はすねるに違いない
だが、墓場が苦手なメアリーに対して少々強引すぎたことも反省している
久しぶりに会った友人にこんなことをされたことを根に持って、もう友人とよんでくれないかもしれない。
そんな不安がふとよぎる。
仕事終わりにメアリーの好物であるベリーパイをお詫びに持ってバラウルに行こう。
きっとメアリーは不機嫌そうにでも迎えてくれるにちがいない
そして彼女のことはいつか話せればいいと思う
署で聞いてみるとベリーパイが売っている店はこのあたりでは殆どないらしい
ようやく教わった店をメモし帰りに寄ろうと胸ポケットに店のメモをしまった
あとは仕事が終わるのを待つだけだ
そんなとき、メアリーの同居人から電話があった
「すぐに来てほしい」
というものだ
慌てて駆けつけると、なんと頼んでいた仕事はもう終わったのだという
半信半疑で昨晩訪れた墓地へ向かうとエドワードが一人待っていた
噂で聞く巷の探偵は関係者を集め関係者の中から犯人を言い当てるものだという
実際にそんな推理ショーに何件かは立ち会ったことがある
どの探偵も自慢げに推理を披露し、周囲をあっと驚かせていくのだ
だが同じ探偵のエドワードはどうだ
今回でいう関係者は少数で墓から逃げた老婆と管理人くらいだろう。
だがその関係者すら呼んではいない
念のためにいつ関係者を呼んでもいいように一緒にきた警官を管理人の近くにいさせエドワードの所へいく
だがエドワードは管理人をすぐに呼ぶ気配もない。
それどころかエドワードはすぐ自分が仮説した推理を話し始めた。
墓は以前おこった事件の犯人たちが金を隠すもので、今回の被害者はその犯人に追われたのだという
そんな誰も予想もしていなかった事件までも解決するだろう直前まで謎解いて、あっさり仮説の裏付けは見届けず帰るという。
解決したという名誉も放棄する理由がなんとも笑えるものだった。
遅くなるとメアリーが機嫌を損ねるからと言うのだ。
あぁ、かつて辛い思いをした友人は今幸せなのだ
誰の言葉も聞かず姿をくらました友人はようやく居場所を見つけたのだと安心した。
今回はエドワードに譲ることにしよう
居づらくて事務所から逃げてきたエドワード
彼には申し訳ないと思う
きっとメアリーは意地をはってるだけだと思う
このベリーパイが仲直りのきっかけになればいい
今日はそんな二人を想像するだけでいい
エドワードの後ろ姿を見送りながら今から怒るだろうことを想像して心が温かくなった。
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