アンデット 17
いつのまにか一緒にいるのが当たり前で楽しい時間が当たり前になってきている。
メアリーまだ不機嫌かなぁ、とおもってしまう自分が笑える。
帰った頃にはまたいつもの笑顔に戻ってれば良いと思うが…
「残念ながら掘り起こされた中身には興味ないんです。大体の想像はついていますし。
ですが、もし私の推理が正しければ調査費をお願いします。」
事件の真相を仮説で終わらせることになるがまず間違いがないという自信はあった。
仮説に対して金が払えるかと怒られそうだ。
だが相手は警察なのだ。
プライベートの依頼だとしても経緯が定かに出来ない証拠は証拠として認められない。
仮説が事実なのかは託すしかなかった。
それを見届ける責任はあるとは思う。
だが、事情聴取に何時間かかるかはわかならないが今日は早く帰らなければならなかった。
「途中で帰ってしまうと私が嘘をついて依頼料を払わないかも知れませんよ?」
そんな冗談を言うがきっとそんなことはしないだろう。
「そしたら紹介したメアリーに責任をとってもらいます。」
そんな冗談で返事をする。
「それは困りましたね」だなんて言いながら互いに冗談だと分かっている会話はすぐに終了してしまう。
「さて、私は早くメアリーになにか買って帰らないと。
いつまでも不貞腐れていられると居心地が悪くてたまりません。」
あの不機嫌はいつまで続くのかと考えるとため息が出てしまう。
普段明るい性格だから余計にギャップを感じてしまい憂鬱になる。
そんな様子をみたジャックの顔は何故か微笑ましいものを見るような表情をしていたが見て見ぬふりをした。
「冗談はさておき、もし仮説が正しければ警察が調べてきてもう駄目だと諦めていた事件を解決した快挙なんですよ。あっさり手柄を諦めていいのですか?」
「良いんですよ。
それよりもいち早く帰らないともっと怒られそうです。」
「あなたは想像以上の方だったようです。
依頼や長年謎とされてきた5億の事件よりメアリーが不貞腐れていることに頭を抱えるだなんて、本当に面白い方ですね。良ければ依頼抜きでも仲良くしてください。」
ジャックは右手にしていた手袋を外し、手を差し出した。
自然の流れでその手を握ると驚くほど冷たくジャックを見るが、その視線を気にすることなく握手が終わるとすぐにジャックは手袋をしてしまった。
「あー、それならばブラックベリーパイをお勧めしますよ。」
「ブラックベリーですか?」
「えぇ。彼女の好物なんです。」
友人ならではのアドバイスだった。
何を渡そうか迷っていたから非常に助かった。
「ありがとうございます。」
ジャックは胸ポケットからメモを取り出してよこした。
「この辺で売ってるお店です。良ければ行ってみてください。」
おそらくメアリーが不機嫌になっていると分かっていたのだろう。
そのメモをありがたく受け取り、仮説で締めた依頼を残して墓地をでた。
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