アンデッド
アンデッド 1
それは夕日が沈む寸前の出来事だった
墓参りに来ていた老婆が管理棟まで這う様に逃げてきた
墓地の管理人は何事かと尋ねる
すると老婆は震えながら
『死人に襲われそうになった』
と何度も言うのだ
管理人は笑い飛ばした
墓場に残っていたのは老婆だけだったのだ
他の客はもう既に出ているし誰かに襲われるということ自体ありえない
もし襲われるとすれば老婆のいう通り死人だけだ
だが動くわけもない死人に襲われる?
ありもしないし、ありえない
木のざわめきを勘違いしただけだろう
そう管理人は老婆に説明した
だが老婆は絶対に死体に襲われたのだと聞かない
老婆が納得しないと思った管理人は襲われたという墓まで一緒に行くことにした
だがどうだろう
墓に見に行ってみると
普段とは違う異変があった
柳の木の下の墓が掘り起こされていたのだ
そこで初めて管理人は墓荒らしにあったのだと気づいた
老婆は「やはり死体が蘇ったのだ」と騒いだ
だが管理人ももう老婆を落ち着かせる余裕がない
管理人は慌てて警察に通報した
間も無く警察が到着した
だがいくらさがしてもその墓の棺は見つかることはなかった
この墓地で扱うのは石棺ばかりだというのにだ
中に眠るご遺体だけでなく石棺ごと見つからない
墓地は塀に囲まれていて出入口は管理人がいる門だけ
そんな大きなものが出入りしたのに気づかないわけがなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます