客が来ない探偵事務所 9

時を同じくして…

とある場所で部屋の大きさも分からない漆黒の闇の中、男女の話し声が木霊した。


「本当に宜しかったんでしょうか?」


「文句あるのかしら?」


「ですが、あの子らを放っておくのはあまりに危険かと。」


「どうでもいいわ。力もない知恵もないそんな子など私のコレクションにいらないもの。

そんなことより数百年ぶりに私の大好きな問題児ちゃんを見つけた方が大切なことよ。」


「ライオンとウサギを同じ檻にいれるとはまた酷なことを。」


「ずっと逃げられていたのよ?そのくらいの悪戯はいいでしょ?

あぁー楽しみだわ。今回も是非楽しませてほしいわね。

そのために折角私がわざわざ出向いたんですもの。」


女の声は上機嫌で高笑いまじりだった。

対して男の声は控えるようにそして女を少し諫めるように落ち着いた声で話していた。


闇に二人が溶け込み姿を消すまでの一時の間の事だった。

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