第15話 いくつかの真実

「いや。さすがにまずいだろう。警官が消えたぞ」

 悠翔から真面目な回答が来る。


 近くに居る。指揮を執っていた人に話を振る。

「どうも、向こう側と接続が切れたみたいですがどうします? 警察官10人くらい向こう側ですけれど?」

「接続?切れた? どういう事だね」

 そう言って、歩いて行く。うん普通に。


 ピタッと止まり。くるっと向き直るが、顔が驚嘆状態。

「どうしよう。これはどうすればいい。坊さんか?」

 突然パニックになった。


「いや知りませんけれど。ネットで調べます?」

「おお。そうだな? いや先に署へ連絡だ。警官が10人も消えたのだからな」

 そう言って、パトカーに走って行った。


「おい、改。おもしろいぞ。異空間で検索すると、インテリアデザインばかり出る」

「そうか良かったな」

 嬉しそうな、悠翔に雑に答える。


 そうしていると、目の前が揺らぎ。警官達が泣きながら飛び出してきた。

 全員無事のようだ。


「おまわりさん出てきました。空間はまた閉じたようです」

 俺は揺らいでいた所で、手を振ってみるがもう何もない。


「大大丈夫だったか? 良かった良かった」

 おっさんが、走ってくる。

 この人ゴブリンに攫われそうになっていたが、一体何者だ?まあ良いけれどな。


「さーあ一件終わり。次を探すか?」

「つかぬ事を聞くけどさ、改って空間の揺らぎとか見えるのか?」

「いんや。波打っているときは分かる」

「そうか。そうだよな」

 悠翔がなぜかほっとした顔をしている。


「どうした?」

「分かるなら、俺たちの取り分がなくなりそうでな」

「どうせ、一緒に見つけるなら一緒だろ」

「まあそうだけどな」

「もう一つくらいは、見つけようぜ。目標ゴブリン発見」


 悠翔って、たまに訳の分からないこと言い出すし、妙に他人に対して冷たいときがあるよな。あっ俺も一緒か。



 そうして、うろうろして帰り道。

 もう一つの、空間揺らぎを見つけた。かわいそうだが、スズメバチの捕獲と同じくおっさんが攫われているのを追いかけた。

「二本目ゲットだぜ」

 無論通報して、人数割り。

 悠翔もこれで何とかするかと言って、帰って行った。



「あーなんだか楽しかったけど、悠翔君が童貞なのと、改が足が速いのにびっくりだよ」

「あーまさか、あいつがそんなに、モテないとは知らなかった」

「モテるけれど、仲間に入ってこられないだけでしょ。悠翔君と仲良くなりたい。でも周りには改を始め、怪しそうな男子が、目付き悪く。よだれを垂らして手ぐすね引いているんだよ。怖いよ」

 思わずジト目で、万結を見る。

 すでに上は脱いで、両手で持ち上げながら、うりうりと見せつけてくる。


「おまえなあ。確かに俺以外は、そんな感じだな」

「はっはっは」

「なんだよ」

「笑っただけ」

「よし。教育してやる。尻を出せ」

「いやーん。えっち。そうよね。スパンキングの基本は、素手からよね」

 そう言って、突き出してくるから叩いてみる。


「うーん。もうちょっと強く?」

「えっ?」

 そうして、おバカな夜は更けていく。



 エイリアステラに建つお城。

 石造りの城に足音がこだまする。

「さてとご飯だよ」

 牢に入っているのは、10代後半から20代前半くらいの女の人3人。


「あなた誰なの?帰して」

「ああそうか、君はゴブリンに連れられてきたのじゃなく、直接だったから正気なんだね。そうだな僕は元勇者。現魔王かな? モンスター達を司るものだね。とりあえず、ご飯は、ここに置いとくよ。他の2人の世話も頼むよ。彼女たちはゴブリンにやられてちょっとハイな状態だから、趣味があるなら抱いてあげて。きっと誰が相手でも喜ぶからね」

 そう言って、20歳くらいの若そうな彼は笑う。


「あっそうそう。ここから出ても良いけど、ここは、エイリアステラという世界。僕でさえここから地球に帰るのに千年以上掛かったんだ。おすすめしないよ。まあどうしてもゴブリン達との倒錯な世界で生きたいとか、オークのごついもので突かれて、子供を産み続けたいなら別だけど」

 そしてまた、何がおかしいのかニヤニヤと嫌らしそうに笑う。

 端整な顔立ちだけど、凄く冷たい目。


 また言葉を続ける。

「彼らは魔素で構成された、妖精とか精霊のような存在だから、知性は無いし。きっとエッチ以外はつまらないよ。ちなみにオークの子供は、君の卵子を強制的に卵母細胞化させて、できあがるはずのクローンに干渉して、遺伝子配列をモディファイする。だから、彼らの遺伝子は存在しない。だから、君は受け入れれば新たなる人類の母となれるよ。この世界の人類は、せっかく魔王を倒した僕を、迫害して追放した後、魔物に淘汰された。少し手助けしたけどね」

 それだけ言い残し、彼はまたどこかに行ってしまった。


 目の前には、裸で何もかも垂れ流し、今も焦点が定まらない目でよだれを流している高校生くらいの女の子。

 不思議なことに、バスタブにはずっとお湯が流れこみ。

 水道と、トイレもある。

 空調も効いて寒くはない。


 食べ物の乗ったトレイを、ベッドの上に置き。 

 先に、彼女たちが垂れ流したものの後始末。そして、体を洗い清める。

 ボディソープも何もかも、日本のものがそろっている。

 ベッドのマットは、見たことがある商品名。お値段以上の品質で有名なところね。

 バスタオルで、体を拭くけれど、ずっとタオルが触れるだけでも悩ましい声が、彼女達の口から漏れる。ちょっと興味が出る。そして、自身の右腕と葛藤を始める。

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